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「本当の自分はこうじゃない」職場のあなたがそう感じてしまうワケ

学び

「自分は複数ある」と言い聞かせてみる

小学校

 まず、「本当の自分」は1つとは限らないと認識しましょう。小学校のころを思い出してください。家庭での自分と学校での自分は、かなり異なる自分だったはずです。その両方とも「本当の自分」と考えてよいのではないでしょうか

 狩猟採集時代の小集団では、家庭も学校もなくいつも同じ集団にいたので、「単一の自分」だったのですが、それが現代では「複数の自分」になったというわけです。

 ところが、家族が授業参観に来ると困った事態になります。家庭での自分としてふるまうか学校での自分としてふるまうかの迷いが生じるのです。授業なので学校での自分を出すと、家族が抱いてきた自分のイメージと矛盾してしまうのが悩ましく感じます。

 こんなときは、時と場所に応じて「自分は複数ある」と思うのが有効です。先の例では、家庭での自分と学校での自分は違うのだと言い聞かせます。授業参観に来た家族は、家庭とは違った自分を見に来たと考えるのです。

自分を演じ分けられる自分が「本当の自分」

 この言い聞かせは、人によっては生得的な感情が邪魔をするのでかなり難しいです。狩猟採集時代の作業分担では、担った仕事を最後まで一貫して果たす責任があったので、途中でその仕事に飽きてしまうような心変わりが許されませんでした。

 そのため感情は、自分らしく生きたいなどと、常に安定した「自己イメージ」を維持するように働きがちなのです。もちろん、現代でも担った仕事は最後まで果たす責任がありますが、その仕事が終わったら、心変わりをしても一向に構わないのです。

 生得的な感情は頑固に動きがちですが、冷静な心を駆使して、その頑固さを和らげる方向にガイドしましょう。そのヒントになるのが、演劇の意識です。時と場所に応じて異なる自分を演じるのです

 自分を演じると言うと、どれも「本当の自分」ではないように感じるかもしれませんが、異なる自分を演じ分けられる自分が「本当の自分」なのだと思うようにしましょう。冷静な分析的な思考には、自分を拡大して捉えられる柔軟性があるので、それを利用するのです。

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