社外取締役と「顧問」の違いは?意外と知らない会社の組織の話
社外取締役って“社外”なのはなんで?
太郎:“社外”取締役って外部の人なのに何で経営に口出ししてくるんだろう?
坂田:取締役は基本的に株主総会で選出されます。社外取締役には公認会計士や弁護士のような専門性のある人が就くこともあります。
安藤:社内の意見だけでは偏ることもあるので、社外の視点から取締役としてリスク判断や意見をもらうのは重要です。
太郎:たまに会議に出るだけで、高給もらえるのってズルいですね。
安藤:東証一部上場とかはさておき、マザーズ上場クラスだと月額数十万円が相場かと思います。それで専門家の意見がもらえて経営判断の精度が上がれば、費用対効果で考えて高くはありません。
社外取締役と顧問の違いは?
太郎:顧問との違いは何ですか?
安藤:全然違います。社外取締役は決議に票を投じて取締役としての責任を伴いますが、顧問に経営責任は発生しません。あくまで経験や知見を活用したアドバイスや、顧客の紹介をする存在です。
会社:株主が任命する「取締役」が会社の方針を決めてるのはわかったと思うけど、株主の利益のために経営を監督する立場で、取締役会での決定事項を「執行」するのが「執行役員」の役割なんだ。
太郎:取締役と執行役員って明確に違うものだったのか……。
会社:執行役員は会社法で定める役員ではなく社内に任意に設けられる「役職」。しかし日本企業では取締役が事業部門の責任者を兼任する例もあるので、太郎が混乱するのも仕方ないかな。
太郎:混乱なら、COOも偉い人なのだろうけど、よくわからない。
坂田:CEO(Chief Executive Officer)は「最高経営責任者」、COO(Chief Operating Officer)は「最高執行責任者」ですね。会社法に定められているわけではないため、役員でないケースもありますが、経営上の権限を持ちながら、仕事をする人たちのことです。代表取締役や取締役を兼務していなければ、執行役員くらいのイメージ。それ以外のC○○は日本でいえば事業部門長みたいなものです。
【坂田岳史】
中小企業診断士。’61年、京都府生まれ。18年間コンピュータ業界で活躍し、現在はIT経営コンサルタントとして活動。会社の仕組みにまつわる著書を多数執筆している
【安藤広大】
組織マネジメント専門家。’79年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモに入社。転職を経て’15年に識学を設立。コンサルティング実績は1600社超。著書に『リーダーの仮面』
<取材・文/週刊SPA!編集部 イラスト/今井ヨージ 図版/松崎芳則>