元ワコールの28歳女性が、焼き芋屋を始めたわけ。選挙にも出たパワフル人生
日本を広める仕事で社会貢献をするために
こうした起業家としての側面だけでなく、釜谷さんは「ジパング協会」の代表理事も務めています。どのような活動をしているのでしょうか。
「秘蜜な焼き芋同様、『温故知新』という言葉を理念に、SDGsを意識しながら歴史を重んじつつ時代の変化に合わせたモノやコトを追求る協会です。エシカル、革新、体験の3本の柱を通じ、社会貢献を目指しています。たとえば環境に優しいバイオプラスティック製品を普及させるため、環境と美容を考えるきっかけ作りなどを行っています。活動の幅は日本国内にとどまらず、世界中で力を発揮していきたいと思っています」
協会の設立は2019年。代表理事として当時はいろいろなことを考えたという釜谷さん。「利益追求ではなく、社会貢献、社会目的達成を目指すことを第一に、株式会社ではなく、協会を設立した」明かします。
「協賛金をいただいた企業に、CSRとしてしっかりかかわって、私たちはアイデアや知識、実働を提供します。ジパング協会がプロデュースするサービスや商品で、双方が潤うモデルを意識しているんです。ジパング協会を設立して2年目ですが、この1~2年で組織を回していく難しさを学びました。1人ではできることに限界がきたので、今はどんどん声をかけ仲間を増やし、いもがーるも合わせると170人ほどに。かつては自分があと2、3人いたら……と悔しくなったこともありましたが、苦労を買ってできてよかったです」
ピンクが功を奏した初出馬
それだけでなく、釜谷さんと言えば、2019年に渋谷区議会議員選挙に出馬。ピンクの選挙ポスターとピンクの選挙カーでの出馬が話題になりました。
「決め手は、当時なら史上最年少での出馬だったからです。そんな機会は今しかないと思いました。渋谷歴も少なく、政治の知識もない人が出馬したらどうなるんだろうとは考えましたが、自分自身の可能性を広げられると思って決意したんです。当選はできませんでしたが、投開票の3週間前と短期間の選挙活動で、掘り起こし票を1000票以上いただけましたし、自民党からはその点を評価していただけました。この1000票はきっと学生などの若い世代に影響を与えられた成果だと思います」
選挙には敗れましたが、現在も渋谷区総支部女性部副部長として活動を続ける釜谷さん。出馬して自身にもある変化があったそうです。
「選挙に出馬して、より強く、たくましくなりました。道行く人々に話を聞いてもらえる時間はたったの15秒、その15秒で伝えるには、記憶に残すには、そんなことを考えながら毎日演説し続けたとで、精神力と説得力を得られました。人から選ばれるための行動には、自分を成長させるパワーがありますよね。今の私に怖いものなんてない!そう言い切れるくらい選挙活動は私を強くしてくれました」