宮川大輔、50歳を目前に俳優業に挑むワケ「年いって、人に優しくできないのは嫌」
お笑い芸人の宮川大輔さん(48)が、豪華キャストのスラップスティック・コメディ映画『ヤウンペを探せ!』に出演しました(11月20日よりシネ・リーブル池袋ほか全国順次公開)。
宮川さんは、さえない中華レストラン店長のジュンペイ役。学生時代に作った映画のヒロインだった女性の「今の私にはヤウンペが必要なの。今、一番欲しいの」の一言で、それが何かわからないまま当時の仲間たちと奔走するという、一風変わったストーリーの中で、独自の存在感を発揮しています。
宮川さんは1999年に星田英利とのコンビ「チュッパチャップス」を解散。その後は舞台での活動を希望しますが、現在のピン芸人として活動は周知のとおり。『世界の果てまでイッテQ!』『満点☆青空レストラン』など体を張った芸風でも人気を博しています。
一方で近年では、映画『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』(2008)、『オー!ファーザー』(2014)、『ザ・ファブル』(2019)といった話題作に続々と出演を果たしており、俳優としてのキャリアも重ねています。50代を目前にした宮川さんの仕事観、そして若い世代へのメッセージを聞きました。
お笑いとは違う“独特の緊張感”が好き
――それにしても、妙なタイトルだなというのが第一印象でしたが、脚本を読んで、まず何を思いましたか?
宮川大輔(以下、宮川):「なんやこれ!」ってなりましたよ、僕も(笑)。どこを響かすお話なのか、理解は難しかったです。それはたぶん僕だけじゃなく、みんながそうやったと思います。でも、たぶん考えるものではないというか、4人が仲良く見えて、ヤウンペを探しに出かけて、それに向かってみんなが走ったり、いろいろなことをして探しているという作品だろうと思いました。
――俳優業もコンスタントにされていますが、宮川さんの中で、お笑いと俳優業の仕事上の区別や、心構えの違いみたいなものはあるのでしょうか?
宮川:好きか嫌いかで言ったら、お芝居は好きなんです。僕はコンビを別れた時にお芝居をやってみたくて、何年か舞台を中心にやらせていただいて。そっちで行こうと思っていて、正直テレビでここまで出してもらえるって、その当時は思っていませんでした。『すべらない話』や『イッテQ!』をはじめ、いろいろ出してもらえていることはとても嬉しいのですが、舞台をやるとなったら、やるからにはたくさん稽古をして本気でやりたいんです。お笑いも同じですけど、ドキドキするんですよ。舞台には相手がどう来るかわからない、独特の緊張感がありますよね。
この『ヤウンペを探せ!』で言うと、4人は幼馴染で昔からの親友ということで、いきなり仲良くご飯を食べるシーンから始まるんです。これ、言うたら、ムチャブリですよね。お笑いで言うと。僕は人見知りなところもあるので、そこで急に仲良うみたいなことにはならんぞと言うか、お笑いとは違う緊張感の中でセリフをどう自然に言うか、という課題も出てくる。でも、そこにドキドキするんですよね。この緊張感は好きなんです。
昔と違い、今は「いらんこと、せんとこ」
――お笑いのプロであるために、松尾諭さんや池田鉄洋さん、みなさんが面白いとプレッシャーに感じることもありそうですね。
宮川:それはありました。でも、自分が前に行こうとは思わなかったですね。セリフの感じと、4人の感じと、バランス見ながら、その中で足りないところは補足する。ただもう、松尾さん、池鉄さん、みんな役者さんですけど、「こんなことするんや」って、見ていて面白かった。ふたりがツッコミし出したら、僕は無視したら面白いだろうかとか。
友だち関係なんだから傍観して無視することもあるじゃないですか。あとはたぶん、僕と池内くんとの関係で足りないところを埋めてくれたりもしていたと思うので、そういう、自然にできてくるおっさん4人の関係性はちょっと面白かったですね。
――確かにそういうシーンもあったように思います。
宮川:昔はそれこそ爪痕残そう、目立とうとしていましたが、今はできるだけフラットにと言いますか、「いらんこと、せんとこ」みたいな感じはあります。ナチュラルにいこう、という感じですかね。