デリヘル嬢は「演じていてツラかった」恒松祐里が感じた“生きづらさの正体”
10年で240回もオーディション落ちた
――精神的に大変そうですが、女優の仕事は楽しいですか?
恒松:楽しいです。22歳になりますが、これまでの経験が仕事に活かせて、年齢を重ねるごとに少しずついろいろなものが見えてくるので、それをお芝居に投影したいです。その時の感情に、もしかしたら誰かが共感してくれるかもしれない。それはすごく楽しいことだと思います。
――なんでも10年で240回もオーディション落ちたそうですが、自信を失くしたりしなかった?
恒松:そのおかげでけっこう強くなれたと思うんですよ。子役の頃、1か月に3、4回のオーディションがあって、雪の日もオーディションがありましたが、とことん落ちまくっていました。
一次とかで落ちたら自分の実力不足だと思いますが、最後の2人でダメだった時などは、縁がなかったと思うようにしています。また次がある、いつかチャンスはやってくると思っているので、その時はその時で、いつまでも引きずっていると前に進めないので、すぐ忘れるようにしています。
オーディションに落ち続けても、前に進めた理由
――転機の作品は何だったのですか?
恒松:今回はオファーをいただいたのですが、お仕事をいただけるようになった転機の作品は、三木孝浩監督の『くちびるに歌を』という作品でした。当時15歳、7年前の作品なのですが、新垣結衣さんの主演の作品で、オーディションで受かったんです。「この役は絶対に取ってやるぞ!」という気持ちで臨みました。仲村ナズナという役名だったのですが、性格が似ていて、共感することも多かったです。元気なところ、よくしゃべる感じ、この役をやりたいと思って受かった作品でした。
それがわたしにとっては初めて、登場する生徒の中では名前が一番上の作品だったんです。そこからオファーもいただけるようになり、オーディションにも受かるようになりました。7歳からこのお仕事を始めていますが、一歩踏み出せたのは確実にあの作品。共演者は、今でも戦友です。
――そういう仲間は、仕事をするうえで助かっていますか?
恒松:そうですね。最近は仕事の悩みを人に言えるようになってきたように思います。最近会った人たちよりも、昔から一緒にやってきている人たちのほうがアドバイスも的確ですし「次にこういう役をやるんだよね」って言うと喜んでくれたり、一番話しやすい存在です。