元紅白出場バンドのメンバーが40歳で初めて就職「経験値は他でも活かせる」
気になる記事を社内で発信、自身の知識に
LiBでは、電話やメールで顧客とコミュニケーションを深めるインサイドセールスを担当することに。コールセンターで5年働いた経験があり、「なんとか通用するのでは?」と思ったのも束の間。聞き慣れない言葉のオンパレードに大きく戸惑ったという。
「『アジェンダを共有して』や『コンセンサスとった?』などと言われるたび、はてなが浮かびました。まるで知らない国に留学へ来たような気持ちで……日々、ビジネススキルのなさを痛感しました」
そこで始めたのが「たっしー通信」。社内のチャットに、新聞やウェブの気になる記事とそれに対する自分の考え方や考察を交えて、100日間、毎日発信した。
「もともとチーム内の取り組みで始めたのですが、評判となって、事業部全体でこの投稿を楽しみにしてもらえるようになりました。記事は女性の働き方やHR Techなど、事業に関わる内容を中心に取り上げたので、100日達成したころにはかなり知識がブラッシュアップされました」
紅白に出演しても「こわかった」
転職して気になるのがお金の話。
「正直、バンドマン時代より下がりましたが、未経験の職種を選んだので当然だと思っています。それにもともと、そんなに物欲がないんですよね。アルバイト時代を経て、デビューしてお金は入ってきましたが、お金を使うとしたら仲間におごるくらいで。というのも、下積みが長く30歳手前でやっと売れた遅咲きだったので、危機感がずっとあったんです」
バンドが売れたとき、夢が叶った喜びと同時に、目に見えないこわさを感じていたという田島さん。ドラマや映画の主題歌に起用されたり紅白歌合戦に出たりすると、事務所もレコード会社も神輿を担いだ状態になる。
「叱ってくれる人がいなくなり、自分たちが周りを見えなくなってしまうのがこわかった。だからメンバー同士でも『叱られる環境を大事にしよう』というのは強く言い合っていましたね」
怒ってくれる人を大切にする、というスタンスは今も変わらないという。