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緊急事態宣言中の温泉地で見た、驚きの光景。浴室でマスク着用も

暮らし

温泉に行くと、まさかの門前払い

 夜が明けて、岩井さんたちが向かったのは、住宅街のなかにぽつんとある、小さな温泉施設。どちらかという町の銭湯に近いような佇まいでした。専用の駐車場に車を停めて、施設の入り口に向かいますが、そこで思わぬ門前払いを食らう羽目に……。

「入り口の扉には『新型コロナウィルス感染症の感染拡大を受けて、当面の間、当施設のご利用は近隣地域在住の方のみとさせていただきます』とありました。要は『よそ者はお断り』ということです。当時、東京都の感染者数は他県を大きく上回っていたし、都内から感染者が流入することを避けたかったんだと思います。何とか入れてもらえないかと受付の人と交渉してもダメでした」

 確かに、8月頃までは「東京都民お断り」の施設などが、報道されていましたよね。
 仕方なく、そこから数キロ離れたところにある別の温泉施設に向かうことにした岩井さん一行。代わりに行ったのは、以前にも行ったことがある、観光ガイドに掲載されるような有名スパ施設。そこでは特に断られることもなく、検温とアルコール消毒を済ませることで入場することができました。

 ところが、岩井さんたちはそこで異様な光景を目にすることになるのです……。

「温泉で全員マスク」の異様な光景

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「浴室には自分たちのほかに何人かお客さんがいたんですけど、全員一様にマスクを着用していました。全裸にマスクですよ? 目を疑いましたね。男湯にいる全員がマスクを着けていたものだから、結局、自分たちもマスクを着けて温泉を楽しむことにしました。なかなか滑稽ですよね……」

 施設では入浴中のマスク着用を義務づけていたわけではありません。ちなみに、全国公衆浴場業生活衛生同業組合連合会が作成した「浴場業(公衆浴場)における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」によると、マスク着用について「従業員及び利用客(入浴時以外)に対する周知」と記載されており、入浴時の着用は呼び掛けていません。

 今回、岩井さんが目撃したのは、少し行きすぎた感染対策だったのかもしれませんね。

<取材・文/目黒川みより イラスト/田山佳澄>

フリーペーパーを発行する出版社勤務を経て、現在はWEBデザイン会社にてディレクターとして勤務。お忍びで「心の問題」を扱う執筆活動を続ける

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