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在米日本人にも危険が…非白人を嫌う極右グループが、トランプ劣勢で過激化

ビジネス

暴走する極右グループ

 米南部貧民救済法施行機関(SPLC)は2020年3月、白人至上主義を掲げる極右グループの数が過去3年間で55%増の155組織に達し、そのうち大量殺戮による多文化社会の崩壊を目指す「暴力的過激主義」を唱える極右グループの増加が顕著になっていると指摘した。

 米国国家テロ対策センターの元長官は、現職のトランプ大統領が敗北したケースを想定し、「同大統領を支持する極右グループが国内でテロを活発化させる可能性があり、今後の世論調査で敗北が濃厚になれば、大統領選前でも活動をエスカレートさせる恐れがある」と指摘した。

 さらに米国の国土安全保障省は3月、極右グループがユダヤ系の米国人や警察官を標的として、唾やウイルスを混入させたスプレーを使って非白人にウイルスを巻き散らすテロを実行するよう、感染した白人の支持者に呼び掛けていたと明らかにした。

ネット上で呼び掛け、組織の拡大を図る

大統領選

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、米国を中心に欧米世界に大きな被害をもたらし、ロックダウンなどさまざまな社会的制限が課されることによって欧米各国は深刻な経済的打撃を受けることになった。

 それに伴い、白人を中心とする若者たちの社会経済的不満がこれまでになく高まり、極右グループは「中国からきた新型コロナウイルスによって米国は多大なる被害を受けた、報復のときだ」と白人の若者たちにネット上で呼び掛け、組織の拡大を図っているという。

 現在、米大統領選挙はバイデン候補が圧倒的に有利な状況だ。トランプ支持の過激集団による事件やメンバーの逮捕も相次いで報告されており、今回の大統領選は米国内の治安をさらに悪化させる恐れがある

 こういったメンバーは中国系を狙った事件も繰り返しているが、欧米の世界では中国人と日本人を区別できる人は少ない。米国には多くの日本人が在住しているが、そういった事件に日本人が巻き込まれるリスクは常にある。今回の大統領選は身近の治安・安全という視点からも注意が必要だ。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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