29歳・元看護師が被災地で「ゲストハウス経営」を始めた理由
新型コロナウイルスの影響によるテレワーク、在宅勤務の拡大を受けて、地方移住に目を向ける人が増えている。現役リクルート社員の森成人さんは、2013年より出向先である宮城県気仙沼市で生活し、1405日間(およそ3年10か月)の仮設住宅暮らしをブログ「気仙沼出向生活」で綴っている。
本連載「リクルートから被災地へ」では森さんが被災地の生活を通じて知り合った、ローカルで活躍する若者などを紹介する。今回、取材したのは、志田ももこさん(29歳)。
気仙沼にある若者の集まるゲストハウス
私が気仙沼という街にハマってしまった理由のひとつにこの街にはいろんな人が全国から集まってくることがある。復興支援のボランティアの方や旅人、企業の方や有名人まで私も気仙沼でさまざまな方に出会った。だが当時、そんな方々を受け入れられる宿泊施設の数はそこまで多くなかったときに、1つのゲストハウスが誕生した。
名前は「ゲストハウス架け橋」。見た目は普通の民家だが、中は今風に綺麗に改装されていて昼夜問わずさまざまな旅人や地元の若者などが集う拠点になっている。
「都会で疲弊している若い人たちにこそたくさんここに来てほしい」
そう話すのが今回話を聞いたこのゲストハウスを切り盛りをする志田さんだ。
たまたま訪れた街、気仙沼が人生を変えた
志田さんは静岡出身で地元の高校を出て、大学から神奈川で、何不自由ない都会暮らしをしていた。なぜ気仙沼に移住することになったのだろうか?
「きっかけは24歳だった2015年の時に『このまま30歳にはなりたくない』という思いから、こども医療センターの看護師の仕事をやめて旅に出たんです。目的は日本中を周ることでした」
しかし、その途中でたまたま訪れた気仙沼で人生が変わる。
「面白い方たちにたくさん出会ったところで『気仙沼にゲストハウスをつくる』という計画に出会ったんです」
その後、旅は北海道まで行ったが、途中で旅を中断し、彼女はその2015年の年末からさっそく気仙沼への移住を決心する。
「もともと漠然とゲストハウスとかやりたいなとは思って、あまり深く考えず飛び込んだんですが、こんなに大変とは思ってもいませんでした(笑)」