手取り10万円台の地方公務員「先輩に相談しても無視され…」と嘆く日々
何かと出費のかさむ都心暮らしに比べて、地方生活は生活コストが安く済むというメリットがある。しかしそれは裏を返せば、地方で働くと給与が低い、賃金を抑えられることを意味している。
それは役所や公的施設で働く地方公務員も同じこと。
公務員の給与に対するイメージはさまざまだが、若い人の中には、安定はしている分、給与が低いと思う人が多いはずだ。特に地方自治体で働く人の中には、月収10万円台という人も少なくない。
今回取材した、東北地方の某市役所で働く岡本雄一さん(仮名・25歳)も、給与についての不満を口にする。
「初任給は20万円未満」低さに衝撃
「私が入職したのは非常に小さな村の役場でした。部署にも3~5人しか人がおらず、基本的には40代以上のおじさん、おばさんだけでした。とはいえ、住民たちからは非常に頼りにされているようで、職員の方たちは非常に慌ただしく働いていました」
仕事に対しては充実感を覚えていたという岡本さんだが、一方で、どうしても不満に思っていたのが給与の低さだった。
「地方公務員なので、給与は民間の実態を調査した上で、議会で決められます。なので、地方都市の現状を反映しているといえば、それまでなのですが、初任給が20万円未満だったときは『こんなに働いても、これだけのか』と少しショックでした。別の役場で働いている年上の知り合いには、40代を前にして、年収300万円台という人もいます」
総務省が発表した「地方公務員給与実態調査」(2019年度版)でも、一般行政職(公務員)の給与は、同率1位の765万円「千葉県浦安市」「神奈川県厚木市」を筆頭に、3位の757万円「千葉県印西市」、4位の754万円「愛知県豊田市」、5位の750万円「東京都武蔵野市」と、首都圏あるいはトヨタ自動車を抱える豊田市といった企業城下町が並ぶ。
家賃に車の維持費…意外と多い出費
税収が安定していて、働く人たちもそれなりに潤っている都心部や地方都市と違い、多くの地方自治体は人口流出や高齢化に悩まされている。その分、住民たちへのサポートが欠かせないのだが、岡本さんは「給与と仕事の量が釣り合っていない」と言う。
「大学で介護の勉強をしていたので、私の仕事は主に単身世帯の高齢者の見回りやケア、孤立した地域に住んでいる人たちの生活環境の確保といった内容でした。そのため体力やコミュニケーション能力が求められることも多い。正直、高齢者の中には些細なことでもキレたり、言葉遣いが粗雑な人も多いので……。
そういった仕事をしていると、たまの休みになると、おカネを使って贅沢したい気分になるのですが、今の給与だけではとてもそんな消費はできない。だいたいは食費や家賃、光熱費に消えます」
当然、車社会なのでガソリン代や維持費もかかる。最後、手元に残るのは月2万円程度だという。「これを使ってしまうか、将来のため貯金するかでいつも悩んでいます」と、岡本さん。