「ほんっとうに不気味」石橋静河が振り返る、ミステリーの撮影現場
憧れは監督業も務めるハリウッド女優
――アメリカやカナダへの留学経験もある石橋さんですが、今後、外国の作品に挑戦したい気持ちは?
石橋:いわゆるハリウッド映画も、もちろん面白いでしょうけれど、アート系やミニシアター系の海外の作品に興味があります。その国の言語ができないと難しい場合も多いでしょうが、いろんな国でお仕事してみたいです。
――現在、憧れている女優さんはいますか?
石橋:『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』の監督でもあるグレタ・ガーウィグさんがすごく好きです。もともと踊りをやっていた方で、身体の使い方の美しさとか、聡明さを感じさせる素晴らしい女優さんです。
――グレタさんは、女優であり、監督も務めていますが、石橋さんも映画デビュー作の『少女』(’16)では出演だけでなく振付補佐をされています。作品作りに、そういった部分で携わることへの興味もあるのでしょうか?
石橋:振付といっても映画で踊りを扱う作品は少ないですが、舞台ならありそうですね。表現という意味では踊りもお芝居も一緒。なので、もし機会があれば、踊りと関わる仕事もできたらいいなと思います。
社会には、見えない鎖がある
――最後に、本作の公開に向けて、完成作を観ての石橋さんの感想を教えてください。
石橋:この町を離れられなくなる理由のひとつに「音」がありますが、本当に怖いと感じました。見えない部分で鎖につながれているようで。でもそれって、私たちの社会でもあることだなと思ったんです。
見えないルールや、みんなが常識だと思っていること、でも海外に行くと全然違うことなのに、日本ではその通りにしないと周りから疎外されることも。そういう見えない鎖みたいなものを形にしたら、本作での「音」のようになるのかなと思いました。
『人数の町』は、しっかりと伝えたい監督のメッセージがありつつ、いかようにも受け取れる作品になっていて、それがいいなと思います。価値観を決められてしまうようなものより、観ている人に委ねる作品のほうが私は好きなので。そうした表現をしている映画だと思っています。
<取材・文・撮影/望月ふみ>