「ほんっとうに不気味」石橋静河が振り返る、ミステリーの撮影現場
踊りを楽しめた瞬間に決心した
――石橋さんは留学も経験してダンサーになったのち、女優業もスタートさせました。女優業進出への一押しになったのは?
石橋:留学から帰国してからお芝居をやってみようと思った時点では、実はまだ踊りでやっていきたい気持ちが残っていました。そのとき、イスラエルでコンテンポラリーダンスのワークショップを1週間くらい受けに行ったんです。そこで、一番踊りを純粋に楽しめて、心と体と頭がひとつになって踊れた感覚があった。そのワークショップが終わった瞬間に、「お芝居をやろう」と決意しました。
――一番、ダンスと一体になれたときに?
石橋:そうなんです。普通は「だからこそ踊りを続けよう」と思うものですが、自分の限界が見えたというか。全く悲しい感じではなく、別の道にも行ってみようと思えたんです。不思議な体験でしたが、それがすごく大きかったですね。
コントロールできない状況を楽しむ
――女優のお仕事を始めて5年が過ぎました。ご自身のなかで変化してきたことはありますか?
石橋:役者って、自分のコントロールが効かないパートだなとつくづく思います。衣装もメイクも見た目も全部決まっていて、この役でこのセリフを読んで、ここに立ってくださいと言われる。
いろんなことを決めてもらって、そのうえで自分のお芝居をする。気持ちのタイミングも、照明やカメラやほかのパートと合わせなければいけない。本当にコントロールできないんです。
でも、そこが面白いと思えるようになってきました。自分の想像通りにいかないとき、それをコントロールするんじゃなくて、楽しむことが必要なんだな、そうしていきたいなと感じています。