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パソナの淡路島移転、コスト削減だけじゃない事情とは

ビジネス

 人材派遣大手のパソナグループが、社員約1200人を2024年5月までに東京から淡路島に本社機能を移転すると発表しました。コロナ禍でリモートワークが推進されるなか、都心オフィスの必要性を再検討する企業が増えていますが、今回の移転はそれ以外の理由もあるようです。

パソナグループ

パソナグループの本部ビル(※「JOB HUB SQUARE」Webサイト)

全宅ツイ 業界ウラ話」を連載中の不動産団体「全国宅地建物取引ツイッタラー協会」(全宅ツイ)が、移転の裏事情を語ります。

都心なのに牛や豚を飼っていたパソナ本部ビル

 都心部のオフィスマーケットに詳しいとっくさん@tokusenjouhou20)は大手町にあるパソナ本部ビルについて、次のように紹介します。

「2017年からパソナグループが入居するビルは、東京駅徒歩1分大手町2丁目にある『日本ビルヂング』というオフィスビルです。ドラマ『半沢直樹』1stシーズンでロケ地にもなった建物で、地下3階~地上13階の約1万5000坪をパソナグループ本部ビルとしてグループ各社とともに一括賃借中です」

 パソナ入居後、「酪農分野の人材育成」を目的として「大手町牧場」をビル内に開設したことでも話題となりました。とっくさんは、この取り組みを「異例中の異例」と評します。

「オフィスビルで動物を飼うだけでもかなりハードルが高く、これを容認するビルオーナーはほぼ皆無です。貸主である三菱地所がパソナというテナント属性に理解があってのことでしょう。契約にあたっては匂いの問題や排気、そして動物が仮に死んだらどうするといった、通常のオフィスビルではありえない特約が盛り込まれたと聞いています

再開発で取り壊しになる

 都心の一等地ビルに牧場を開くという前代未聞の活用を可能としたのは、ビルオーナーの理解や、一棟丸ごと借りた以外にも理由があると、とっくさんは明かします。

パソナ

東京駅前常盤橋プロジェクトの第一弾として竣工するA棟 ※プレスリリースより

「日本ビルヂングは、『東京駅前常盤橋プロジェクト』の再開発エリアに建ち、現在建築中のA棟が完成すれば、日本一高いビルとなるB棟(390m)や、C棟の開発に移行します。

 パソナも将来の再開発を承知のうえで入居していて、オフィスの定期借家契約(期限が決められた賃貸契約)を5年が妥当とすると、原状回復免除特約を考慮して、2017年3月から2022年の2月末ごろを契約期限として退去する予定だったと考えられます。ビルで牛や豚を飼えたのも再開発に伴う取り壊しという前提があればこそで、普通はできません」

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