モラハラ父親の会社に就職した20代職人の「学歴コンプレックス」
旅行先でまさかの親父の嫌がらせ行為
「旅行へ行った私への嫌がらせなのか、親父から振り込まれる予定だった給料が入らなかったんです。もちろん事情を問い詰めましたが、なんせ、もう海外にいましたから……。結局、あてにしていた収入がなくなったので緊急帰国を余儀なくされました」
旅行中に友人たちとも喧嘩別れしていた山口さんは、言葉も分からなければWi-Fiすらほとんど繋がらない異国・キューバからなんとか帰国を果たした。旅行そのものは台無しになってしまったものの、すでに今年の4月から勤務する会社の内定をもっている状態だった
「帰国して今後の人生を見つめ直していると、親父が『会社に戻ってきてくれ!』と頭を下げてきたんです。『お前がいなくなったら家のローンも払えないし、借金の取り立て屋に追われるんだぞ』と。ただ、私に言わせてみれば『そんなの私には関係ないよ』という気持ちでした。もうやりたいことも見つけたし、仕事に復帰する気はなかったです」
しかし、そのあとも1週間近く父親がひたすら頭を下げてきて、山口さんの決心は揺らぐ。
「私にとって墨出しの仕事をしていた日々は地獄でした。でも、親父はここまで苦労を掛けながらも自分を育ててくれたかけがえのない存在。仕事をしたくない気持ち以上に、親父への恩を強く感じました。結局、『親父の最後の願いだから』とその言葉を受け入れ、ひとまず新しい会社に入るまでの間、仕事に復帰することにしました」
購入したPCも処分して夢をあきらめる
父親たっての願いで職場に一時復帰した山口さん。しかし、仕事のツラさは以前と全く変わらなかったという。事前の約束通り、今年の2月には会社を辞める旨を告げた。
「3か月という約束だったのに、親父は退職に猛反対しました。次の人も決まってないから、と。ただ、私はその期間に親父がなんの求人活動もしていないことはよく知っていました。腹立たしさしかなかったです。
でも、これは私の“弱さ”なのかもしれませんが、どれだけ不義理を重ねられても親父を見捨てることはできなかったんです。結局、私は夢だった映像制作の道を諦め、泣く泣く内定を辞退しました。購入したPCも処分しましたね」
夢を絶たれ、絶望的な気持ちしか残らなかった山口さん。そこに追い打ちをかけるように、父親からこんな言葉を浴びせられたという。