大戸屋、客離れは値段が高いから?オイシックスとの提携の裏にある買収劇
コロワイド側は不満がつのり…
筆頭株主であるにもかかわらず、一向に提案が受け入れられないコロワイド側の不満が溜まっていく、今回の買収劇。コロワイドが事を急ぐのには理由がありました。それは経営計画の未達による業績の悪化です。
大戸屋HDは店舗展開の目標として、2019年3月末までに484店舗、そして2020年3月末には515店舗を目指していましたが、実際には、2019年3月末に463店舗、2020年3月末も463店舗にとどまりました。
また営業利益は、2019年3月期に7億円の黒字、2020年3月期に8.8億円の黒字を予定していたはずが、2019年3月期は4.1億円の黒字、2020年3月期に至っては6.5億円の赤字に転落しています。
客足が遠のくのは価格が高いから
このような実態を踏まえ、筆頭株主のコロワイドが、現経営陣に「No」を突き付けたのが今回のTOB。コロワイドは大戸屋HDの現経営陣による経営をどのように見ているのでしょうか。
彼らがまず改善したいであろうことが、顧客の離脱に歯止めをかけること。
コロワイドによると、大戸屋を利用したことがある消費者が42.2%で、そのうち離脱層(過去に「大戸屋」の利用経験があるものの、直近1年以内に利用実績がない顧客層)は28.0%にのぼるそうです。ちなみに利用機会が減少した顧客層の3割以上が「価格が高いこと」を理由に挙げています。
コロワイドは、現経営陣による「大戸屋」の運営方法では、価格に対する不満を改善できないと判断し、真の意味での「お値打ち価格」を実現するためには、その原資となる効率化・コストダウンが急務と考えています。また友好的に大戸屋HDを買収し、双方が協力すれば、以下のプロセスを実現できるにもかかわらず、現経営陣はこれに反対していると見ています。
・仕入条件の統一によりコスト削減
・コロワイドグループのセントラルキッチンの活用
・物流拠点の相互活用・物流効率の改善
・新店立地・業態転換候補の共有