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お酒が飲めない就活生が「大手ビール会社の営業マン」になれたワケ

ビジネス

 お酒が飲めないことで「コンプレックス」や「後ろめたさ」を感じることはないだろうか。周囲は気持ちよく飲んで楽しんでいるのに、自分だけ“飲めない”。そう思いながら、やり過ごした経験のある人もいるのでは。

飲み会での乾杯シーン

※画像はイメージです

 酒類メーカーの営業ともなれば、「お酒は飲めて当然。飲めないと取引がうまくいかない」と思われても仕方ないだろう。そんな中、飲める営業マンではなく飲めない営業マンとして活路を見出した人物がいる。

 取材当日、初対面の挨拶を交わした時から「お酒は飲めません」と、打ち明けたのはサッポロビールに勤める我妻壮太さん(32歳)。「ノンアルコールビールを日本一売った」と自負するほど、ノンアルコールビールに思い入れを持っているという。営業マンとして渡り歩いた我妻さんの仕事術を聞いた。

“人”に魅力を感じ、サッポロビールへ

 そもそも、なぜお酒が飲めないのにサッポロビールへ入社したのだろうか。「身近にあるものを売るほうが、働くイメージを持ちやすかった」と語る我妻さんは、同社で働く”人”に魅力を感じたのだという。

「就職活動のとき、営業の仕事に就きたいと思っていたのですが、ちょうど母親の知人にサッポロビールのOBがいたんです。その人にお話を伺う中で興味を持ち、選考を受けることにしました。採用活動が進むと、先輩から『お酒を飲めない人もいるから安心して』と勇気付けられたことが、入社を決めた理由ですね」

 先輩の言葉を信じて、サッポロビールに入社。事実、今日まで「お酒を強要されたことはない」と我妻さん

「とはいえ、入社当時は、お酒を”飲める”ように努力もしました。少しずつでも飲むことを続ければ、自然と飲めるようになると思っていたんです。でも、ちょっと飲めば、体がすぐ赤くなったり、かゆくなったりする。アルコールパッチテストでも皮膚が赤くなってしまい、これは体質的に無理だなと。それ以来、お酒を飲むことは諦めました」

飲むのが仕事ではなく、売るのが仕事

サッポロビール

サッポロビール株式会社の我妻壮太さん

 我妻さんが入社してまず配属されたのは北海道。ちょうどその頃、サッポロビール初のアルコール度数0.00%のノンアルコールビール「サッポロ プレミアムアルコールフリー」が発売に。先輩から「お酒が飲めないなら、ノンアルコールビールを売ってこい」と後押しされた

「赴任先では業務用営業に配属され、飲食店や酒販店、卸売店などを回っていました。初めの頃は、営業で訪問しても『お前はお酒が飲めないのか。それでは営業なんてできないだろう』と言われてしまい、会話が発展せずに追い返されるなどと苦労しました。

 ただ、お酒が飲めないことは事実で、今後変わることはない。そう割り切っていたからこそ『飲むのが仕事ではなく、売るのが仕事』とはっきりと伝え、明るく信頼されるように振る舞うことを心がけたんです。特に、ノンアルコールビールを売る時は、自分が飲めない人間だからわかることだったり、お酒を飲んだような気分を味わえるリアルな想いを伝えていました」

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