ポテチで860億円。カルビーの“味”を開発する秘密を聞く
パッケージを活用した謎解き仕様に
同様にポテトチップスと消費者の新たな関係構築といった点で、冒頭に紹介した「ポテトチップス×謎解きクイズ 導きのブラックペッパー味」は新鮮だ。担当した三橋氏は「通常、食べたら捨てられるパッケージを活用して楽しみを提供した」と語る。
「昨今、謎解きやテレビのクイズ番組が流行っているのを見て、カルビーのポテトチップスでも謎解きの“コト体験”を提供したいと思いました。食べ終われば捨てられてしまうパッケージを目に留める機会は少ないので、どうにか有効活用したいと思い、表面・裏面に謎解きの問題を記載することに決めました」
問題の制作・監修には「リアル謎解きゲーム」や「リアル人狼」などの人気イベントを手がけるイベント制作チーム「よだかのレコード」を起用。難易度の高い本格的な謎解きに挑戦が話題を呼んだ。
「パッケージを折ったり、形を変えたり、重ねたりすることでヒントが出てくる仕組みになっていて、ステイホーム期間でも楽しんでもらえると思っています。また、ブラックペッパーのピリッとした辛さが、考えごとにぴったりだと思い、この味を選びました」
リモート商品開発のメリット・デメリット
カルビーといえば、新型コロナ対策で7月からテレワークに移行したこともニュースになった。藤原氏によれば、働き方の変化により、商品開発も「今後オンライン化に対応していく」と言う。
「これまでは現地工場や生産農家に直接足を運んで商品開発を行っていました。しかし、コロナ禍では対面でのコミュニケーションもできません。開発チームや工場スタッフと膝を突き合わせて、議論できないことは残念ですが、一方で遠隔でも気軽にコミュニケーションを取れるというメリットも生まれました。
オンラインでのやり取りに戸惑うところも多かったですが、それでも新しい環境に慣れないといけません。これからも試行錯誤しながら、新たな商品を開発していきたいです」
カルビーがリモートワーク主体の働き方へと舵を切った今、新しい商品開発の体制により生まれるポテトチップスはどのようなものか。今後発売される商品に期待したい。
<取材・文・撮影/古田島大介>