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なぜ飲食、アパレル業界は年収が上がらない?背景に残酷な現実

学び

2:店舗スタッフだと厳しい「アパレル業」

アパレル

 2つ目は、小売業界で、特にアパレル業界が当てはまります。

 近年、アパレル業界はメーカーごとの品質の差異がなくなりつつあり、結果として高く売って利益率を高めるのが難しく、給与も低くなっているのです

 また、Amazon・楽天などのECサイトが使われるようになったことで、「直接店舗に行かずに、ネット上で買うほうが便利」という考え方も浸透しつつあります。そのため、実店舗自体が減っていく可能性が高いのです。

 今後、商品を展示するショールーム的な使われ方で店舗が残る可能性はありますが、その場合は人件費は削って自動レジ化される流れになると思いますので、店舗スタッフとしてのスキルを高めていても「報われない」のです

3:コロナ前でも苦境だった「旅行代理店業」

旅行代理店

 3つ目は、旅行代理店です。先ほどの小売業界と同じで、旅行代理店は薄利多売で手数料収入を得るモデルなので、給与レンジが低いというのが特徴です。かつてのように団体旅行をする時代ではなくなったことに加え、期待していたインバウンド需要もコロナにより長期的な未来が見えなくなっています。

 また最近では、エクスペディアのようなOTA(オンライン・トラベル・エージェント)と呼ばれる、インターネット上のみで完結する旅行会社も増えてきています。

 ネット予約したほうが楽で早いし、そこで支払いもできてしまう。そのため、いわゆる旧来型の窓口での旅行代理店のニーズはかなり減少しています。たとえば、国内最大手の旅行代理店であるJTBであっても、海外からのインバウンド需要もあり、好況期だった2018年頃でも過去最大の151億円の赤字(2019年3月期、純損益)を出していました。

 つまり、コロナウイルスの流行前ですら赤字だったので、今後はさらに危険な状態とも言えるのです。また、旅行代理店での仕事というのは、旅行プランの細かい提案などを除けば、実質、交通チケットやホテルの予約をする取次業務になります。

 なので、営業マンとして付加価値をつけられるスキルがあるという判断がされにくいことがあります。そのため、個人としてキャリアを評価されにくく、他の業界に給与をあげる目的で転職するのが難しいのです。

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