自転車でも「あおり運転」は罰則の対象?弁護士に聞いてみた。
「酒気帯び運転」の規制はなかった
法改正の前から自転車の飲酒運転は危険行為とされていましたが、罰則の対象となるアルコール基準値は、自動車の場合と同等なのかも気になります。
「道路交通法で禁止されている飲酒運転は、『酒気帯び運転』と『酒酔い運転』があります。酒気帯び運転は血中アルコール濃度が、一定量に達しているかという、形式的な基準で判断されます。一方、酒酔い運転は、アルコール濃度の検知値には関係なく、アルコールの影響により正常な運転ができない状態をいい、こちらのほうが罰則が重いです」
しかし実は自転車の場合、「酒気帯び運転」が規制されていないそうです。道路交通法上、自転車は軽車両に分類されますが、「酒気帯び運転」の規制では、軽車両は除かれているからだとか。
「自転車は『酒酔い運転』しか規制されていませんが、正常な運転ができるかどうかは自動車と同じ基準で判断されます。とはいえ、同じ『酒酔い運転』だとしても、自動車のほうがはるかに危険ですから、もちろん罰則も重くなりますね」
対人事故を起こしたらどうなる?
例えば自転車が人に衝突する事故が起きた場合は、どのように罰せられますか。
「基本的には自動車と同様に道路交通法の規定により罰せられます。ただし、自転車の場合は、自動車の場合に比べて死亡事故や重大な傷害事故が起きる可能性は低いので、事案の重大性がやや下がることから、逮捕される可能性は少ないと思います」
では、自転車にさまざまな種類がありますが、それによって罰則の規定が変わることはあるのでしょうか。また、もしも自転車の衝突が死亡事故に発展してしまった場合、どのように罪に問われるのでしょうか。
「道路交通法の基準に適合していない『電動アシスト自転車』が当てはまるようです。あまりに電動のアシスト力が強すぎる自転車は、道路交通法で公道を走ることが禁止されています。これに乗って、もし死亡事故を起こした場合は、過失致死傷罪や業務上過失致死傷罪、さらには重過失致死傷罪などに問われます」