『100日後に死ぬワニ』きくちゆうきが語る、“唯一の後悔”と次回作
次回作は「人間」をテーマに描きたい
――テーマは何ですか?
きくち:「人間」です。人間というか、人間味というか、人間らしさというか。『ワニ』で経験したことからも描けることがけっこうあるので、もう、思ったこと感じたことを全部出してやろうと(笑)。この経験は僕しかしていないですから。
――では、人間のあらゆる思いを浴びせられたきくちさんは今、人間という存在についてどう思いますか?
きくち:人間は……すごくいいし、すごく悪い。
――それはどういう意味でしょう。
きくち:ちょっと抽象的ですけど、僕、いい人間も悪い人間も同じ気がしていて。みんな両面あるじゃないですか。例えば電車に乗っていて前に誰か座ってるとしますよね。そしたら「この人、ネットで誹謗中傷めっちゃしてるんじゃないの?」とか思っちゃうときがあります。
普通の顔をしてても、その可能性はあると思うんです。リアルで会う人って、基本みんないい人ですよね。でも、ネットのなかだとなぜかトゲのある人が溢れている。それって自分の嫌な部分をネットにだけ出しているからなんじゃないかなと思うんです。そこら辺をうまく自分なりに落とし込んで作品にしたくて。『ワニ』での経験を、生かさずにはいられないですね。
<取材・文/中村裕一 撮影/菊竹規>
【きくちゆうき】
’86年生まれ。27歳でイラストレーターとして独立し、’16年からはリイド社のリイドカフェで漫画『SUPERどうぶつーズ』を連載開始。『100日後に死ぬワニ』の書籍版は35万部を突破。絵本版も発売中。ツイッターは@yuukikikuchi、ウェブサイトはstudio-kikuchi.com