ランニング中のマスクは危険!医師に聞いた「感染を防ぐ走り方」
7月1日、日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会は、コロナ禍の屋外での運動についての共同声明を行いました。運動時のマスク着用のリスクや、ソーシャルディスタンスの保ち方について注意喚起する内容となっています。
そこで今回は、東京都小金井市・山﨑内科医院院長で、健康スポーツ医の山﨑博臣院長に、マスクのリスクや、着用にあたってどのようなことに注意しなくてはならないのか聞きました。
「屋外運動時のマスクは危険」声明の内容
日本臨床スポーツ医学会・日本臨床運動療法学会は「屋外での運動の有用性とリスクについての正しい国民的理解」と「不安解消」のため、下記の提案をしています(以下、声明文より抜粋)。
=====
1. 運動は、ストレス・生活習慣病・認知症・要介護等の予防・改善に極めて有効です。高齢者や有疾患者、障がい者の方も主治医に相談した上で、これまで通り実施してください。
2. 屋外運動時のマスクや口鼻を覆うものの着用は、基本的には推奨いたしません(熱中症や呼吸不全の危険が高まる可能性があり、海外では死亡例もあります)。
3. 新型コロナウイルスはすれ違った程度では感染しないと言われていますが、空いた場所や時間を選び、少人数(できれば一人)で、信号待ち等も含め2m以上のソーシャルディスタンスを保つようにしてください。
4. ロッカールームや更衣室などは、三密(密閉・密集・密接)になりやすいので特に注意し、使用後のタオルは他人が触れないように気をつけてください(汗からの感染はありませんが、鼻や口も一緒に拭くことでウイルスが付着する危険性があります)。
5. 高強度・長時間の運動後には、一時的に免疫機能が低下することがあり、感染予防に気を配ってください。
6. 国や自治体が屋外での運動を禁止した場合は、それに従ってください。
=====
医師に聞く「運動時のマスク」のリスク
――緊急事態宣言の発令以降、運動不足を懸念してマスクを着用してランニングを始める人が増えました。これから夏場を迎えるにあたって、どんなことに注意しなくてはならないのでしょうか。
山﨑博臣院長(以下、山﨑):マスクやバフを着用する人が増えてきました。普通に運動をしているだけでも苦しいのに、マスクなど口を覆うものを着用したら呼吸がしづらくなり、呼吸困難のリスクが高まります。
呼吸することにより体に必要な酸素を取り入れ、必要ない二酸化炭素を排出します。マスクをしていると呼吸する空気の量が不十分となり、十分な酸素の取り入れ、二酸化炭素の排出ができなくなるのです。
さらにこれからの時期になると、熱中症の問題も出てきますよね。呼吸には体温調節の意味もあります。マスクを着用していると呼吸の妨げになりますし、口の覆われている部分は密閉されているので高温になります。