サラリーマンが会社を買う、新たな副収入が人気。1000万円で買収した人の場合
コロナで売り案件増加。市場は買い手が有利に
では、新型コロナの影響で倒産件数が増えるなか、M&A市場にはどのような変化が起きているのか。M&Aプラットフォーム「TRANBI」を運営するトランビ代表の高橋聡氏は「コロナ不況を譲渡理由にした売却案件が増え始めている」と話す。
「業種別で見ると、民泊関連事業の増加が特に顕著で、4月頃からは居酒屋やバーなど夜間営業の飲食店も増加傾向です。個人の購入案件として人気なエステや学習塾なども変わらず多く、これまではオリンピックに向けた好景気で売り手市場だったのが、今は買い手市場へと完全に逆転していますね。今は経営判断に迷っている会社でも、今後数か月で売却に踏み切るケースも出てくるでしょう。結果、買い手の選択肢が広がっていくのは間違いないでしょうね」
では今から個人M&Aを進めるなら、どういう戦略がいいのか?
「まずはコロナで冷えきった経済が、今後も完全には戻らないことを前提に考えるべき。今までと同じ経営方法では難しいので、オペレーティングシステムの変更やネット販売を導入して、新たなキャッシュを生むアイデアがあるかどうかが、カギでしょう」
会社を買収するときの注意点は?
買い手にとってチャンスが広がっていることも確かだが、リスクもあるM&Aだけに、注意すべきポイントは押さえておきたい。
「売る側はその分野での経験があるにもかかわらず売却という決断をしたわけですから、『コロナで安く買えてラッキー』という態度では危険しかないです。また、こういった買い手に有利な状況だけに、通常よりもオファー選びには慎重になっているオーナーも多い。一方的に買い叩こうとする姿勢が感じられたり、誠意のない対応をすると、実際に成約までこぎ着けるのは難しくなるでしょうね」
慎重に案件を見極めたうえで、挑戦するのもありだろう。
<取材・文/週刊SPA!編集部>
【高橋 聡】
トランビ代表取締役。’11年に事業継承・M&Aプラットフォーム会社を開始。著書に『起業するより会社は買いなさい サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ』(講談社)