インド、数百万匹のバッタで経済が壊滅…コロナ感染者も増加の一途
アフリカ、南米でも同様の被害が
バッタの襲来はアフリカでも壊滅的な被害を出している。世界銀行は5月21日、過去70年間で最大規模のバッタの襲来による深刻な被害が発生しているとして、ジブチ、エチオピア、ケニア、ウガンダなど東アフリカ諸国に対して補助金1億6000万ドルを支援すると発表した。
これによって、東アフリカ地域では2300万人が食糧難に直面しているとも言われる。サバクトビバッタは、パキスタンやイラン南部、イエメン、ソマリア、ケニアなどで繁殖し、それらが周辺諸国に襲来する形で被害が拡大している。
6月下旬には、バッタの大群数千万匹パラグアイからアルゼンチンを襲い、サトウキビやトウモロコシなど農作物を食い荒らしたという。現在、アルゼンチン北部に襲来し、今後はブラジルやウルグアイを襲来する恐れがあるという。
人類の生活を大きく変える地球温暖化
現在のところ、こういった「蝗害(こうがい)」が収まる気配は見えない。比較することは正しくないかも知れないが、新型コロナウイルスはマスクの着用、ソーシャルディスタンス、テレワークなど自分でできる対策をとることで感染リスクを大幅に下げることはできる。
しかし、バッタの大群の襲来などは日常生活の根本に影響を与え、なにより人間に必要な「食」に大きなダメージを与えることから、深刻な脅威であることは間違いない。
そして、大量のバッタ発生は地球温暖化による影響だ。地球温暖化による影響は、究極的には資源を巡る紛争や戦争を招くと言われるが、それは未来の人類の生活を大きく変える恐れがある。
FAOは以前、世界的な食糧難が進んだ場合、人類は虫を主食にするべきだろうとする報告書を公表したことがあったが、今回のバッタの大量発生は人類に極めて大きな警告を我々に提示しているのかもしれない。
<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>
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