「お前ら使えねえな」体育会系企業のマナー研修で衝撃の一言
メンターは新人を非情にも一蹴
「正直に配りきれなかったことをメンターに伝えたのですが、次の瞬間耳を疑いました。『お前ら使えねえな』と言われたんです。同期の一人が反論を試みたのですが『口答えするな』と一蹴されました。
そこからはメンターの説教です。やれ『お前らは会社の一員である自覚が足りない』だとか『目標を達成する意志が感じられない』と。この時点で正直この会社ではやっていけないなと思いましたね」
理不尽な説教はこれだけにとどまりません。新入社員は早朝研修と称して早朝に出社しオフィスの掃除が義務付けられていたそうですが、そこでもメンターの口うるさい指導が入ったといいます。
「朝の7時が集合時間だったのですが、1分でも遅刻をするとその日は一日中メンターからぐちぐちと小言を言われました。また、オフィスにホコリや髪の毛が落ちていると、私たち新入社員の掃除が甘いせいだと説教されます。そんな環境だったのでみんな段々と疲弊していき、入社1か月を待たず同期の一人が退職してしまいました」
しょうもない小言は害悪
そして1か月が経ち、過酷な研修も終わりを迎えます。ようやくこの地獄からも解放されると喜んでいた上尾さん。しかし最後に、彼に悲劇が待ち受けていました。
「私は営業部に配属されることになったのですが、部署の直属の先輩が研修を受け持っていたあのメンターだったんです。一気に谷底に突き落とされた気分で……。相変わらずしょうもない小言を言われ続ける日々に嫌気がさして、結局入社1年で転職しました。まったく後悔はしていません。ちなみに、同期とは今でも飲みに行く仲ですね」
ビジネスマナーは業務を円滑に進めるうえで重要ですが、それに縛られるあまり、業務や人間関係に支障をきたしては本末転倒です。時代の変化とともにビジネスマナーの基準も変化しますが、本当に意味のあるものを取捨選択することが会社員に必要なスキルだといっても過言ではなさそうです。
<取材・文/大田コトラ イラスト/カツオ(@TAMATAMA_GOLDEN)>