2年間の海外放浪の先に「インバウンド起業家」28歳が目指すもの
ミレニアル世代の起業家たち【連載第2回】
大手企業をやめて、高学歴を捨てて……自らの手で新たな道を切り拓いてゆく、若き起業家たち。彼、彼女らのエピソードからミレニアル世代の働き方を考える。
自らが海外で見てきた人と人とのつながりをもとに、インバウンド企業ジェイノベーションズを立ち上げた起業家・大森峻太さん。
今年1月に改正された「通訳案内士法」で、国家資格がないとできなかった有料の通訳ガイドが一般にも解放。大森さんも4月からこの有料ガイド事業に参入しました。
起業して3年半。渋谷を拠点に、順調に事業を拡大し続ける彼の成功の理由と今後のビジョンについて聞きました。
儲からないこともずっとやり続けてきた3年半
――有料ガイドの規制緩和含め、インバウンド業界は今かなり盛り上がっていますよね。
大森峻太(以下、大森):東京オリンピックが決まって、いろいろな人がインバウンドのビジネスを立ち上げましたが、実は、ほとんどが儲かってないんですよ。大半が潰れていくのを見てきました。
儲かっているのは、電化製品の会社とか、寿司店とか、もともと日本向けで成功していた事業を外国人向けにシフトしている企業が多いです。
――しかし大森さんは初めからインバウンドで起業して、今も業績を伸ばしています。他社との違いは何だったのでしょう?
大森:いきなりビジネスで始めなかったところだと思います。僕は純粋に、外国人を相手にしたこの仕事が好きで、最悪、儲からなくてもいいやってところからスタートしてるので、儲からないからやめるということをしなかった。
むしろ、儲からないこともしっかりやり続けてきたことが、今のビジネスに活かされてると思います。
――儲からないことというと?
大森:例えば、創業当初から、毎週土日に街頭で外国人を案内する活動をしているんですが、3年半ほぼ休まず続けています。お金はまったくもらわないのでビジネスじゃないんですけど。
これをやり続ける中でメディアにも取り上げられたりして、信用はどんどん生まれていきました。
「全国に数千人のツアーガイドがいる」
――具体的な事業内容について教えてください。
大森:英語で国際交流をしたい日本人と、ローカルな体験をしたい外国人観光客をマッチングするサービスを2014年11月に始めました。並行して今言った街中で外国人を案内するボランティア活動もやっていて、全国的にかなり盛り上がってきていました。
そんなとき今年1月の法改正があって。僕らは全国に何千人っていうガイドを抱えているので、その中の一部で有料ツアーを始めたらすごく評判がよくて、今その事業をどんどん大きくしようとしているところです。
――無料ツアーと有料ツアーではどのような違いがあるのでしょうか?
大森:無料ツアーは、英語を話したい、国際交流したいといった動機の一般の人たちがガイドをするので、語学力や知識レベルなどの質に関してこちらは一切担保しません。
一方、有料ツアーでは、語学力の高いガイドを揃え、研修を行い、コンテンツ(ツアー)もしっかりと作り込みます。お店と提携したり、事前に時間とお金をかけて準備したものを販売します。