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ロックダウン解除でも海外渡航は慎重に。再び感染爆発の恐れも…

ビジネス

再び感染爆発が起こる可能性

 猛威を振るった欧州では徐々にロックダウンが解除され、各国の国境も再び開放されようとしているが、欧州各国を結ぶ航空便や高速鉄道の運行が活発になることで、再び感染爆発が起こる可能性もある。観光収入が全体の1割を占めるフランスやイタリア、スペインなどは夏のバカンスシーズンを迎え、観光客を取り戻そうとしているが、クラスターが発生する危険性も否めない。

 筆者の友人たちも、フランスからイタリア、ドイツに向けて移動しようとしているらしいが、最近、電話で話した際は「行かなくていいならもちろん行きたくない。こういう時にEU圏にいることを後悔する。イギリスのようにブレグジットしたいものだよ」と嘆いていた。

 一方、新型コロナウイルスの感染拡大によって、失業者の増大と経済格差が大きな問題となっている。例えロックダウンが解除されたとしても、今後は経済的な不満や怒りを持つ若者たちによる抗議デモや暴動が激しくなる可能性もある。

コロナが落ちついたとしても

中国 マスク

Coronavirus Asia. Young Ill Woman Flu Respiratory White Mask. Asian Corona Virus. © Anatoly Epaneshnikov

 現在、黒人男性殺害に端を発する米国発の抗議デモが世界に拡散しているが、この問題の根底には経済格差に対する不満や怒りがある。抗議デモには白人やアジア系、ヒスパニック系など多様な人種が参加しており、単に人種差別デモで片付けられる問題ではない。

 白人の若者たちの不満も欧米では根強い。よって、新型コロナウイルスがピークを超えた国に渡航をする機会があったとしても、今度は抗議デモや暴動などのリスクがつきまとう。今回の新型コロナウイルスによる影響はすぐには終わらない。外務省「海外安全ホームページ」を参考にしつつ、海外出張を命じられたサラリーマンは自らの安全管理に気を配ってほしい。

<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>

国際政治学者。首都圏の私立大学で教鞭をとる。小さい頃に米国やフランスに留学し、世界の社会情勢に関心を持つ。特に金融市場や株価の動きに注目し、さまざまな仕事を行う。100歳まで生きることが目標

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