コロナ明けの通勤電車で「メンタル不調になる人」3つの特徴
緊急事態宣言が明けて、通勤電車の中にもサラリーマンの姿が戻りつつあります。新しい生活様式で、これまでと変わりない日常が戻ってくるのでしょうか。
これまで10年以上にわたって、のべ8000人以上のカウンセリング、ストレス研究をしてきたヒューマン・ケア科学博士の舟木彩乃さんは、緊急事態宣言が解除後も「悩み相談件数は減ることがなく、むしろ増えています」と語ります。
前回のインタビューでは「テレワークにまつわる困難」について話を聞きました。今回は通勤電車での悩みについて『「首尾一貫感覚」で心を強くする』(小学館新書)の著書を持つ彼女に聞きました。
久々の満員電車で心配になる理由
久しぶりの満員電車で憂鬱な気持ちになった――。「こんな時期に出勤を強いるなんて会社は自分を大切に思っていない」などと、都市型サラリーマンにとっては共感せざるを得ない悩みです。舟木さんは満員電車が憂鬱の原因を、次の3つと分析します。
「1つ目に、満員電車という3密(密閉・密集・密接)にならざるを得ない空間で、コロナ感染したらどうしようという不安と、もしここで感染してしまったら『これまでの自粛努力は無駄になる』という怒りです。
2つ目に、満員電車というこれまで当たり前だった通勤手段が、それを使わなくても(リモート状態でも)仕事はまわるということを知ってしまった以上、なぜこんなに苦しい思いをして乗るのか分からなくなるということ。最後に、単純に満員電車に乗ることで体力・精神的につらくなることです」
ではこの3つの悩みを抱えているビジネスマンはどうしたらいいのでしょうか。
働き方について見直すことを提案
「会社の考え方、立場にもよりますが、テレワークでうまく仕事がまわっていた体験を持っているならば、これを機会に今後コロナの第二波が来ることを想定し、働き方について見直すことを会社に提案したほうが良いでしょう。具体的には『満員電車による感染リスクを回避したい』と上司に相談したり、部署などでも新しい働き方について意見を出し合ったりするよう提案することです」
とはいえ、若手社員の立場で何かを物申すのは、ハードルが高い気もします。そんなときは「通勤時間を自分にとって意味ある時間に変えてみること」を舟木さんは推奨します。
「例えば、書籍や勉強をオーディオで聞きながら通勤したり、1つ前の駅で降りて会社まで歩いたりするといった方法が考えられます。しかし、こうした方法で悩みが改善されないようなら問題は別のところにあるかもしれません。自分にとって何がストレスなのかを掘り下げて考えてみると良いでしょう」
ただ、悩みの根本は、通勤電車ではなく、職場の人間関係、あるいは待遇にあるのかもしない。その理由を、舟木さんはアメリカの心理学者アブラハム・H・マズローが提唱した「欲求の階層説」を引用しつつ説明します。