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ヤマト運輸、コロナ対策の「神対応」が話題に。売り上げへの影響は?

ビジネス

 新型コロナの影響で苦境に立たされる業界が多い中、以前と比較して需要が落ちていない分野があります。それは運輸業界です。

ヤマト運輸

ヤマト運輸の集配車両 © Cowardlion – Dreamstime.com

 実店舗に行く代わりにインターネットショッピングの需要が高まり、それに伴い、ヤマト運輸をはじめとした運輸業者は引き続き、稼働を続けています。事実、ヤマト運輸の2020年3月の小口貨物取り扱い実績は前年度比で103.9%で、需要は確実に伸びています。

 ヤマト運輸も新型コロナ対策として様々な施策を行っています。インターフォン越しに在宅が確認できれば「サインや印鑑は不要」で荷物の受け取りを可能にしたり、「(ソーシャルディスタンスの)間隔をあける標識に猫のモチーフを取り入れる」という遊び心を忘れない対応をするなど、神対応ぶりが話題になっています。

 本連載ではTwitterアカウント「アラートさん」(@blackc_alert)が、身近な企業を題材にして、企業の状況の調べ方・見極め方を解説しています。では、実際にヤマト運輸および、ヤマトホールディングス(以下ヤマトHD)には追い風が吹いているのか、公開情報から確認していきましょう。

取扱個数で「ヤマト運輸の宅急便」が圧倒

 ヤマトHDの公式サイトでは「ファクトデータ」として10年分の関連データをエクセル形式でまとめたものが公開されています。

 今回はそのデータをもとに、ファクトデータに含まれていない直近のデータ(2020年3月期)を決算短信などから補完して各種グラフを作成しました。まず、業界内のシェア・宅配便取扱個数について状況を確認していきます。

ヤマト運輸

図1:主な宅配業者の取扱個数推移・ヤマト運輸のシェア(ファクトブックより筆者作成)

 グラフにまとめてみると、取扱個数においてヤマト運輸の宅急便が圧倒的なシェアを誇っていることがわかります。また、ヤマト運輸が取り扱っている荷物の取扱個数の絶対値も2018年度末までの9年間で純増を続けています。

宅配便製品ごとの個数は増加傾向

 続いて、ヤマト運輸の宅配便製品ごとの取り扱い個数推移も確認します。

ヤマト運輸

図2:宅配便製品ごとの個数推移(ファクトブック・小口貨物取扱実績 より筆者作成)

 ヤマト運輸の宅急便関連商品(宅急便・宅急便コンパクト・ネコポス)は取扱個数を増やし、2017年度に一度踊り場を迎えたことが伺えます。一方で、クロネコDM便の取扱個数が大きく減少しています。

 クロネコDM便はカタログ・パンフレットの送付を目的にした、事業者向けのサービスです。事業者向けの宅配需要は減少しているものの、個人向けの製品である、宅急便・宅急便コンパクトなどの商品は需要を維持していることがわかります

 個人向けの取扱個数が増えているのはEC需要増に伴っているのは間違いないようです。ただ、個数が増えているにもかかわらず、売上に反映されていないと「骨折り損」になってしまうため、売上推移についても確認しておきます。

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