bizSPA!

コロナ禍で飲食店の家賃減額交渉が相次ぐ。大家側の本音は…<全宅ツイ>

ビジネス

隣の芝が青く見えて石を投げ合ってるだけ

 飲食事業は当たれば大きいビジネスモデルで、賃貸業はホームランこそ期待できないが堅実な利益をあげるビジネスモデルと、双方ともにビジネスオーナーとして背負った事業リスクに見合ったリターンを得ているというのが、どエンド君の主張です。

「『大家は何もしてないで儲けてる!』『パンケーキ屋は粉もの商売でボロ儲けだ!』という言い合いは、隣の芝が青く見えてお互いに石を投げ合ってるだけ。不毛です。そんなに羨ましいなら転職しましょ。たぶんお互いに知らない苦労がたくさんあると気づくはずです」

 冒頭のまゆずみ君も「賃貸業は安定性はあるが収益性は高くない」という意見に同意します。

「安定はしているかもしれませんが、実際それほど収支は厚くないです。大家に店をコントロールする権利はありませんので、飲食店の方々のような成功の果実を得ることは望めません」

ネットの美談は鵜呑みにできない

レストラン

 SNS上では、優しい大家さんが減賃に応じてくれたという投稿もありますが、すべてのテナントに当てはまる話ではないと、どエンド君さんは釘を差します。

「あくまで、個別の話ですよね。日頃から仲が良くて問題のないテナントさんなら、話は聞くという大家さんがほとんどです。しかし、日頃から家賃を滞納しがちだったり些細な設備トラブルのたびクレームをつけていたら、『顔も見たくないからこの機会に出て行って欲しい!』と思われてることでしょう。

 むしろ本当にお店の経営が厳しいなら、数か月家賃減額したところで問題が大きくなるだけ。傷が浅いうちに退去して欲しいと思う、私のような大家もいます」

 日頃の大家との関係性が重要となるほか、大家側の物件力や資金調達能力も交渉には影響するといいます。

「“弱い物件”だと、『いま出ていかれても困るからしばらく半額でもいい』となりますし、引く手数多で飲食店以外にも貸せるような”強い物件”なら、家賃を下げる道理はなくて、再募集すればいいだけ。スルガ銀行から金利4.5%で借りていて債務超過寸前だったら、家賃はびた一文まからないでしょうし、無借金のオーナーなら応じやすいと思います」

 減賃交渉は、これまでの関係性、物件とテナントの力関係、大家の財務状況といった複合的な要因で決まる話で、極めて個別性が高いものとしています。

おすすめ記事