元AV女優×底辺キャバ嬢が語る、働くオンナのキャリアと出産:鈴木涼美×カワノアユミ対談
「プロの文章がなかなかお金にならない時代」(鈴木)
鈴木:ちなみに、この本(底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる)は書き上げるまでどれくらい時間かかりました?
カワノ:話が来てから2か月です。年末年始のお休みもまったく寝ずに書き続けて大変でした。
鈴木:早いっ! カワノさんってライター以外にも仕事してるんですか?
カワノ:今、関西に住んでるんですけど、スナックで時々アルバイトしています。突然なんですが、涼美さんに相談したくて、これからライターとしてやっていく秘訣を教えてもらえませんか?
鈴木:プロの文章がなかなかお金にならない時代ですからね。人の家を転々としたり、実家に居座ったりして家賃にお金を使わないようにするのが物書きとして生きる秘訣。ホストの家に間借りするとか(笑)。
「30代男女の痛い恋愛を書いている」(カワノ)
カワノ:あと、昔から涼美さんの自己プロデュースの引き出しの多さを尊敬してるんです。私は過去の経験を書いてるだけだから、いずれネタ切れになりそうで……。
鈴木:今のキャラから想像できない意外なテーマを書けるといいかも。キャラが固まりすぎると飽きられちゃう。私も、例えば夜の世界のことは好きだし書き続けていくつもりではあるけど「あの人その話しかできないよね」とはなりたくない。テーマにこだわらず、海外生活で鍛えられた自炊テクニックについて書くとか?
カワノ:たしかに、その考えはなかったです……!
鈴木:芸風がワンパターンだよね、と思われたくはないじゃないですか。またそれ?みたいな。だから、私が書かなそうなテーマや媒体の仕事こそ、チャンスと思って引き受けるようにしています。
新聞記者時代は、過疎対策法案とか地方自治法改正について書いていたわけだから「興味がないこと」を書くのは得意です。
カワノ:今は30代男女の「痛い恋愛」などを書いて幅を広げてます。そういう人が周りにいっぱいいてネタが豊富なんですよ。
鈴木:痛い恋愛なら私のことも取材してください(笑)。
カワノ:ぜひぜひ。今度対談するときは、さっそく取材させてください(笑)。今日はありがとうございました。
<取材・文/安里和哲 撮影/市村円香(@1yen_photograph)>
【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごし、元キャバ嬢ライター。裏モノ・夜ネタを主に執筆。著書に『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イースト・プレス)、『旅の賢人たちがつくったアジア旅行最強ナビ』(辰巳出版 ※寄稿のみ)など。ツイッターアカウント@ayumikawano
【鈴木涼美】
1983年、東京都生まれ。2009年、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。元AV女優、元日本経済新聞記者。著書に『おじさんメモリアル』(扶桑社)『オンナの値段』(講談社)など。ツイッターアカウント@Suzumixxx