「外出自粛」でも通勤電車に乗るのはなぜ?新型コロナで知るべき法律
新型コロナウイルスの感染防止のため、改正特別措置法(新型コロナ特措法)に基づく「緊急事態宣言」が4月7日、発令された。
安倍晋三首相は記者会見で「人と人との接触を7割から8割削減を目指してほしい」と述べた。しかし、いまだに多くのサラリーマンが日々、電車に揺られ、通勤をしている。
都内にいると「7〜8割減」は夢のような話だが、この状況はいつまで続くのだろか。また、休業を要請される業種はなにか。対象業種の補償はどんなものがあるのか。特定社会保険労務士の澤上貴子さんに話を聞いた――。
緊急事態宣言でどうなる?
今回の緊急事態宣言で対象となる範囲は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府と兵庫県、福岡県の7都府県だ。都市封鎖といったロックダウンは行われないが、該当都府県で働くサラリーマンに、どのような影響があるのか?
「今回の緊急事態宣言では特措法に基づくものであり、これまでと比べて、国や自治体の警戒レベルが一段高まることは間違いありません。いわゆるサラリーマンのみなさんは、お勤めの会社が、急遽在宅勤務等を導入する、休業に踏み切る、通常どおりの営業を続ける等、どのような対応をとるかにより影響が大きく異なると思います」
今回の新型コロナ危機は、国内感染者数が7600人を超え(4月13日時点、クルーズ船感染者除く)、「未曾有の危機」と言われている。一方、企業には社員に対する「安全配慮義務」が労働契約法の第5条が定められている。そんななかでも会社を休めないのか?
出社を命じても違法ではない理由
「会社は従業員に対する安全配慮義務を負っていますので、非常事態宣言時における勤務についても可能な限り配慮する必要はあります。しかしこういう状況だからといって、使用者(企業)が出社を命じても、違法とは言えません。
もちろん新型コロナウイルスに罹患したら会社を休まざるを得ないですが、感染が怖い等の理由では、原則として自己都合の欠席になります」
新型コロナウイルスの感染が怖いからと言って会社を休むことは難しい。もしも出勤を拒否した場合、どうなるのだろうか。
「同じく原則としては欠勤扱いです。ただし状況が状況ですので、会社側も時差出勤や交代制勤務、在宅勤務を進める等、可能な限り配慮をすべきでしょう。また、新型コロナを理由に会社を休んでも、個々人の事情を十分に勘案しつつ、人事評価には影響させないことも考えられます。
私の周囲でも、基礎疾患を持つサラリーマンの方が、重症化の恐れがあるため欠勤扱いではありますが特別に会社を2か月、希望通り休ませてもらうことができるそうです」