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マツコの番組でも話題に!愛知の赤字水族館が大復活できたわけ

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V字回復の先にある新たな課題

魚暦書

「魚暦書」と銘打ったPOP。1枚1枚丁寧に手書きで仕上げる

 2015年に35歳で館長に就任してからもお客さんを楽しませるアイデアは尽きません。現在では、お客さんになりきったスタッフが、来館者の会話や水槽を見ている様子を観察し、改善に役立てたりと、努力を続けてこられたのは「地元の水族館に勤めたから」だと振り返ります。

「仕事を続けながら、だんだんと地元への愛着がわいてきましたね。実家から通っていたので、辞めたいと口にしたときも家族から『簡単に逃げ出すな』と言われたり、地元の先輩から水槽の作り方などを教えてもらえたことも大きかったです。他に逃げる場所がなかったというのも原動力のひとつだったかもしれません」

 大人や子どもの笑顔が溢れるようになった今、小林さんは新たな課題と向き合っています。

「現状に満足しているかといえば、けっしてそうではありません。2019年は40万人以上のお客さんに来てもらえましたが、成績がよくなった一方で、僕たち自身の努力が追い付いていないという危機感もあります。

 来場者数を落とさずにさらに多くの人に足を運んでもらうのは課題で、苦難を乗り越えてきた経験を糧に、さらに楽しんでもらえるような環境を作っていきたいと思います」

 V字回復を遂げたことで「失敗ができない状況になってきた」と、現状を俯瞰する小林さん。今後も私たちにどんなロマンを届けてくれるのか。竹島水族館の先行きから、目が離せそうにありません。

<TEXT/カネコシュウヘイ>

フリーの取材記者。編集者、デザイナー。アイドルやエンタメ、サブカルが得意分野。現場主義。私立恵比寿中学、BABYMETAL、さくら学院、ハロプロ(アンジュルム、Juice=Juice、カンガル)が核。拙著『BABYMETAL追っかけ日記』(鉄人社)。Twitterは@sorao17

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