トイレットペーパー買い占めに走った犯人は…。両親のLINEに息子が困惑したワケ
父母の連携プレーに、子供はただ困惑
子供たちのために奮闘するそんな両親の姿を見ていると「よくないこととはわかっていても、いざ身内にはあまり強く言えない」とか。
それからというもの、家族のグループLINEには、毎日のように「お母さんのノルマは1人〇個!」「そっちの地域はどう」「確保できたか!? よくやった」と、白熱したやり取りが流れてきますが、子供たちはそのメッセージを見るたび複雑な気持ちになるそうです。
「なんとか買占めをやめてもらおうと、デマに翻弄されないように、買い占めがどれだけ迷惑かを説明している記事を見せて何度も説明したんです。でも親の言い分は、『本当は買い占めたいわけでもないし、デマに翻弄されているわけでもない!』と言うんです。
なんでも、『デマに惑わされたり、品薄になるなら買い占めてしまおうとする“迷惑な人たち”がいるせいで、普通に買おうと思っている自分たちが買えないと。それで買えなくなるのが怖いので、だったら負けずに買うしかない』という理由だとか……。
もう『結局やっていること一緒じゃん』と言いかけたのですが、最後に『子どもたちや困っている親戚、ご近所さんのためにもなれば』と言われて。それを言われるともう何も言えなくなりました」
バズった買い占め目撃談は「まさかウチの親」
マスクやトイレットペーパーをめぐって家族の間で殺伐とした雰囲気がほのかに漂う中、富田さんはTwitterのあるツイートがどうしても気になったといいます。
「3月上旬頃、Twitterで『毎朝(ドラッグストアの)常連の高齢者たちがいて、トイレットペーパーなどを買って、家に溜めているって話をしていた。この後、別のスーパーにも行くみたい。オイルショックで何を学んだのだろう』というようなツイートが回ってきて、一瞬自分の親のことを言われているか本気でドキッとしたんです。やっていることは同じですからね。
今はトイレットペーパーはデマも沈静化したので買い占めなくなりましたが、今度は消毒液と除菌ペーパーに目を付けたみたいです。
子どもを大切に考えてくれるのは嬉しいんですよ。嬉しいのですが……非常事態のときに、正論は通じないということを初めて知りました。それはたとえ家族でも。だから今の僕にできることは、店で商品を偶然見かけても一切買わないことくらいです」
家族を思っての行動にケチは付けたくありませんが、行き過ぎた行動は逆に困らせてしまうことも。根底にあるウィルスや品薄への恐怖や不安は、そう簡単には取り除けなさそうです。
<TEXT/赤山ひかる>