グーグル、アマゾン…世界トップ企業が「社員の食事に投資する」理由
日本の栄養学は20年遅れている
しかしながら、トリプトファンをとるだけではセロトニンは合成されません。
合成の過程には、タンパク質代謝に大きくかかわる「ビタミンB6」と「鉄」が不可欠で、その他、脳神経の正常な働きに関わる「ビタミンB12」、神経伝達物質を放出するときに必要となる「カルシウム」「マグネシウム」を十分量摂取してはじめて脳内にセロトニンが分泌されます。
糖質過多でビタミン・ミネラルが不足しがちな現代食では、セロトニンひとつをとってみても、不足しがちで、うつ状態になりやすくなります。
日本の栄養学は20年遅れています。ここ数年、欧米における予防医学界が掲げている最大のテーマは「ビジネスパーソンの健康をいかに保つか」ということです。なぜならサステイナブルな企業活動には、社員一人ひとりの生産性が必要であるという気づきを得たからです。
世界のトップビジネスパーソンの食事法
社員の心身のコンディションを最適な状態になるよう、「血糖値コントロール」がもっとも重要であると結論づけたのがNASAです。メンタル、注意力、学習能力、判断能力、コミュニケーション能力など、さまざまなパフォーマンスをに血糖値が強い影響を与えていることを明らかにしています。
その後、米国企業でも従業員の健康管理の大きな柱として血糖値コントロールが取り入れられ、グーグル、アマゾン、アップルなど、世界有数のテクノロジー企業は、血糖値管理のデバイス開発に投資をしています。
パイロットがフライト前に呼気のアルコール濃度検査をするように、一般企業でも就業前に従業員の血糖値などの血液データを計測し、コンディショニングチェックをする社会が実現するかもしれません。
※本記事は、満尾正著『食べる投資 ハーバードが教える世界最高の食事術』内容をもとにアチーブメント出版が構成、執筆したものです
<TEXT/満尾正>
【満尾正】
満尾クリニック院長。医学博士。ハーバード大学外科代謝栄養研究室研究員、救急振興財団東京研修所主任教授を経た後、日本で初めてのアンチエイジング専門病院「満尾クリニック」を開設。著書に『40代からの太らない体のつくり方』(三笠書房)、『若いと言われる人があたりまえにやっている16の老けない習慣』(主婦の友社)など多数