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新型コロナで「便器が来ない!」不動産業界が悲鳴を上げる事情

ビジネス

外資系企業の問い合わせ対応で忙殺

「消費と直結する商業施設は、目も当てられない状態です。2月の売上は昨対比で平均4割減、リーマンショックの時でも3割減程度だったと記憶しているのでそれ以上の落ち込みです」

 テナント物件の深刻さを「リーマンショック超え」と評するのは、デベ夫人@devemistress)です。

「テナント物件では『歩合賃料』といって、売上のアップダウンに応じた賃料となるので、賃料減額の予定はありません。ただし、4月以降もこの状況が続くと、固定賃料部分の減額はもちろん、店舗ごとの営業時間の自由化、場合によっては定借期間内解約、残期間賃料免除といった話がテナント側から出る可能性も想定しています」

 また、今回の騒動でPM(プロパティマネジメント)業務が炎上しているといいます。

「特にうるさいのは外資系企業です。海の向こうでダイアモンドプリンセス号の報道を見ている本国BCP(Business Continuity Plan 事業継続計画)担当者からすると、日本は超汚染国扱いです。だから『ビル入館者全員検温しろ!』『入館者の渡航履歴は自己申告だけじゃなくてパスポートを調べろ!』ぐらい無茶な要求が出ても不思議じゃありません」

オフィスビルでは対応を協議

新宿高層ビルの夜景

 実際に、「他のテナントで感染者が出た場合、専有部の消毒は義務付けているのか?」「そのテナントがきちんと消毒しなかった場合のペナルティは?」といった即答に困る問い合わせも来ていて、対応に苦慮しているそうです。

「日本生命三田ビルのテナント従業員が新型コロナに感染したという報道がありましたが、今後もオフィスビルでの感染発生は避けられないので、感染者が増えた場合のビルの対応を協議しています。

 オフィスビルはたくさんのテナント企業が経済活動をしているので、飲食店やスポーツクラブみたいに一社単独の判断で閉められるものではありません。安全性、賃貸借契約における善管注意義務、債務不履行、人権マター(検温行為はプライバシーの侵害)など多くの与件の間に立たされています」

周到に準備を進めたところも

 厳しい対応を迫られる企業がある一方で、匿名会員Cさんの会社では周到に準備を進めています。

「1月終わりくらいから、『コロナで逃げそうな外資系、インバウンド需要に支えられてる企業の賃貸借契約は早めに押印回収』の指示が出てました。契約さえすれば、早期の解約で違約金が発生するのでひとまず安心ですから。

 テナントからの収入は固定賃料もあるので、今のところ大丈夫です。長期化したら業績悪化、減額交渉や退店、その後の誘致が渋いとかありますが、賃料に響くのは半年以上先ですね」

 賃料収入は下方硬直に強そうな印象ですが、あくまでテナント企業の経営が順調という前提があればこそ、経済が再び回るには平穏な日常を取り戻すことが不可欠です。

<TEXT/栗林篤>

【東サンドバッグ(@crunch_hudosan)】
不動産であれば何でも買ってる買取り屋さんのサブスク会社員です。最近の悩みは、サンドバッグになりすぎて、そろそろ中身の砂が無くなりそうなことです。

【デベ夫人(@devemistress)】
デベロッパーで働いております。戦後~高度経済成長期に建てられた古い旧耐震の建物を束ね、新しくキレイなビルに建替えてステキな東京の夜景を創出する簡単なお仕事です

「全国宅地建物取引ツイッタラー協会(全宅ツイ)」は、数百億円の不動産を取引する不動産ファンドのAMrからルノアールにたむろする無免許ブローカーまでを会員に擁する、その保有資産、預り資産、グリップ資産の合計が2兆円を超える不動産Twitter最大の業界団体です
公式キャラクター・グリップ君Twitter:@kuso_bukken

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