「斎藤佑樹と泣きながら握手した」元ソニー31歳が語る、起業までの半生
親は猛反対の転職「プレゼンで反論した」
――それで、人材コンサルティング会社「クライスアンドカンパニー」に入社したんですね。
船橋:ソニーで尊敬していた先輩が辞めることになって、その人がお世話になった転職エージェントがクライスの方だったんです。その方にお会いして、人事のことを相談したり、自分の強みを活かせる仕事につきたいなどといろいろ相談しました。すると「うちの社長に会ってみない?」と言われて、それがきっかけで入社することになったんです。
上司には「君はソニーで何を成し遂げたんだ」と言われましたし、親からも猛反対を食らいました。そこで、僕は「なぜいまソニーをやめるのか」という20枚にわたるプレゼン資料を作り、「若いうちにチャレンジして失敗しても、道は戻せる」「このまま転職せず10年後後悔したら責任取れるの?」みたいなことを書いて、親を説得しました(笑)。
「人生のアドバイスは先輩にしかできない」
――なぜ20代を中心としたキャリアコンサルティング会社を設立したのですか?
船橋:僕、割り切っていることがあって、「人生のアドバイスは先輩にはできない」と思ってるんです。もちろん、年上の方から起業や転職のアドバイスを求められて、それに答えることはあります。ただ、いま31歳の僕が、ちゃんと相手に刺さる内容で、意味のある話を提供できるのは比較的年齢も近い23~29歳くらいの社会人だと思ってるんです。
もちろんこれ以外の年齢の方の就職・転職相談を受けることもありますが、転職市場で30歳をすぎると、伸びしろよりも専門性を求められる。いわゆるプロフェッショナル採用枠になるので、30歳以上の方々からは人生に関して向き合う事よりも企業を紹介する事を求められる事が多い。あるいは逆にもっと年下の学生だと、やっぱり会社のブランドにこだわったりして、あまり親身に聞いてもらえない。仕方ないですよね、当時の私もそうでしたから(笑)。
――親身に話を聞いてもらえない、とは?
船橋:21~22歳の学生に「働くとは」みたいな話をしても、結局、働くことは働くことでしかわからないと思うんです。だから極論を言ってしまえば、20代のうちは「とりあえず気になる企業に入ればいい」と伝えています。どこでもいいから1度入ってみて、自分の価値観がわかったら、そこでちゃんと逃げずに自分と向き合う、自分の価値観はその繰り返しでしかわからないと思っています。行動して向き合う、その繰り返しです。
自分は25歳で転職しましたが、それは自分に合った仕事を見つけるのに必要な経験で、後悔なんかは一切していません。若い人には「20代で道を定めて、30代で道を極める」くらいの気持ちで臨んでもらいたいですね。