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甘い言葉に誘われベンチャー転職も…ワンマン社長に振り回される日々

学び

幹部は親会社へ。残るは社長のイエスマンだけ

悩んでいる男性

 坂本さんを誘ってくれた幹部は、やがて親会社に異動となり、坂本さんは取り残されます。

「幹部は親会社にうまく取り入ったと噂になり、それが原因で、社長はますます部下を信頼できなくなる。さらにワンマンぶりを強化させました。

 息苦しいオフィスに残ったのは、社長のイエスマンたちだけ。『このままだと会社の存続の危機にみまわれるのでは』と危惧した私は、スターティングメンバーのうちの最年長の40代男性に、経営について問い詰めたのです」

 ところが返ってきた答えは「親会社が文句を言わないうちは、この会社は大丈夫だから」の一言でした。

「つまり赤字にならなければ、社長のワンマン経営も許されるというわけです。これはヒドい。社長一人がプレーヤーの個人商店に、僕は勤めているのだとわかると、目の前が真っ暗になりました」

社員を信用できない社長にウンザリ…

防犯カメラ

 しかも社員に対して疑心暗鬼が募った社長は、監視カメラを社内中に設置。転職活動をするにもできませんでした。

「どうでもいいような雑務を押し付けて、残業をさせるためです。社内にいる間は個人のスマホを持つことが禁止されているので、転職活動は平日の朝と夜、そして土日のみ。面接のために午前休を取ろうとして、『歯医者に行くから』と嘘をつこうとすると、社長に『診断書を提出しろ』と要求されたりと、散々でした」

 今は「転職アドバイザーに相談して元の業界に転職。やっとワンマン社長の会社とおさらばすることができました」と感慨深そうな坂本さん。

 美味しい話を鵜呑みにしないで、決める前に調べておくことが大事ですね。

<取材・文/夏目かをる イラスト/zzz(ズズズ)@zzz_illust

コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。『週刊朝日』『日刊ゲンダイ』「DANRO」「現代ビジネス」などで執筆。
Twitter:@7moonr

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