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大相撲・徳勝龍、記録尽くめの初優勝…“幕尻力士”が起こした大番狂わせ

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大関を圧倒した千秋楽。魅力的な個性も発揮

 番付上では言うまでもなく格上、「雲の上」の地位である大関・貴景勝との取り組みが組まれた千秋楽。

 前日に優勝を争う正代との直接対決を制し、単独トップでこの日を迎えたものの、今場所初の結びでの大関戦は、初賜杯へ極めて重圧のかかる土俵であることは間違いない。また、正代が御嶽海を降しており、本割後の「もう一番」を思い描いていた相撲ファンも少なくなかったはず。

 その状況でも、大一番を最高の相撲内容で制してみせた。立ち合いで貴景勝の強烈な当たりを受け止めると、前に出ながら右上手を掴んだ。胸を合わせ土俵際まで追い詰めた後、貴景勝の投げで一旦は体勢を崩すも踏みとどまる。再び向き合うと、そこからは渾身の寄りで圧力をかけ、一直線に大関を土俵の外へと追いやった。

 年下の大関を圧倒し初優勝が決めた直後にみせた、くしゃくしゃになった泣き顔も、観ている人々の心を揺さぶった。

同年代は続々と引退しているが

「花の六一組」と呼ばれる同年代の豪栄道が今場所を持って引退を表明。昨年春には横綱・稀勢の里も土俵を去っている。力士としては、心身が充実する年齢はとうに過ぎていることは確かだ。

 それでも、感動に包まれながらもユーモア溢れた優勝インタビューでは「(自身の年齢について)まだ33歳だと思って頑張ります」と今後への意気込みを力強く語っている。来場所は大きく番付も上がり、優勝力士として地元ともいえる大阪場所を迎える。

 2009年の1月場所の初土俵以来、今場所にまで負傷等による休場がなく全ての場所を皆勤してきている徳勝龍。丈夫かつ、「お相撲さん」と呼ぶにふさわしい立派な身体で土俵に登り続け、これからも人々を元気にするような相撲を見せてくれるはずだ。

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