大相撲・徳勝龍、記録尽くめの初優勝…“幕尻力士”が起こした大番狂わせ
大相撲、令和2年初場所は横綱不在となる中で、“幕尻力士”が旋風を巻き起こした。西前頭17枚目の徳勝龍がその堂々たる身体を活かし、14勝1敗の好成績で初優勝したのだ。
徳勝龍は、幕内番付の最下位で迎えた今場所、得意の突き落としが冴え渡り、3日目から勝ちっぱなしで初の賜杯を手にしている。今回の優勝で個性的なキャラクターも多くの人々に知られることになり、取組での鮮烈な活躍と共に相撲ファンを大いに沸かせた。
記録尽くめで成し遂げられた「偉業」
明徳義塾高校、近畿大学と、学生時代から相撲名門校で数々の実績を残した徳勝龍。大学在学中に木瀬部屋に入門、2009年の1月場所で初土俵を踏んでいる。入門からおよそ3年で十両昇進、その翌々年に新入幕(東前頭16枚目)を果たした。
ただ、幕内において番付を順調に上げるには至っていない。
それどころか、2013年の7月場所に新入幕を果たしてからも、ほぼ毎年、十両への陥落を経験。番付自己最高位は2015年5月場所の西前頭4枚目、この年は年間を通して幕内で相撲を取り続けたものの、翌年には4場所で負け越し、十両へ番付を下げている。
特に昨年までの2年間での幕内在位は昨年の名古屋場所のみ(東前頭14枚目)。その他11場所では十両力士として土俵を務めた。今場所、4場所ぶりの返り入幕での初優勝もさることながら、過去の成績を踏まえても、まさに「偉業」という表現が当てはまるだろう。
再入幕、そして木瀬部屋力士としては史上初、奈良県出身としても「98年ぶり」という様々な記録に彩られた今回の初優勝。土俵際で逆転する決着が多かった今場所、徳勝龍が勝利後に毎回見せる驚いたような表情が印象的であった。