すかいらーく、セブン、養老乃瀧…外食業で広がる「24時間営業」廃止
深夜のファミレスと言えば、終電を逃した若者たちが集まって朝まで過ごしたり、オフィスを持たないフリーランサーがノートパソコンを前に作業しているという光景が想像されるかもしれません。
しかし、そのような光景は今や過去のものとなりつつあります。近年、「働き方改革」の影響や外食産業を取り巻く環境の変化によって、営業時間短縮の方針を採る外食チェーンが増えています。
営業時間短縮といえば、年末年始にも「営業休止」を発表した大手外食チェーンが目立ちました(関連記事:ガスト、幸楽苑も…年末年始に「営業休止するチェーン店」はどこ?)。2020年もこの大きな流れは続いていきそうです。
外食大手「すかいらーくHD」の24時間営業廃止
「すかいらーくホールディングス」は、今年の1月から4月にかけて現在155店舗で行っている24時間営業を廃止する方針を固めました。
さらにすかいらーくHD傘下のグループ566店舗(ガスト332店、ジョナサン153店、バーミヤン68店、グラッチェガーデンズ8店、夢庵5店)でも深夜の営業時間を短縮することを発表しました。営業時間は店舗によって異なるようです。
また、大手外食チェーン「ロイヤルホスト」や「サイゼリヤ」も、すでに24時間営業を廃止しています。
ロイヤルホストでは「FNN.jpプライムオンライン」の取材に対し、朝夜の営業時間を短縮したことで、ピークタイムに社員やリーダー格のパートを配置しやすくなったため、料理の提供時間や後片付けが速くなり、客への気配りにも余裕が出てきたと答えています。(※「24時間営業や年中無休をやめても売り上げ伸びた? ロイヤルホストの働き方改革は『人材こそ宝』」、2020年1月5日)。
外食チェーンを巡る環境の変化
大手外食チェーンが相次いで営業時間短縮や「営業休止」を掲げる背景には、政府の推進する「働き方改革」の影響や、SNSによるコミュニケーションやUberEatsの普及により消費者のライフスタイルが変化したことが考えられます。
外食の市場調査などを行っているリクルートライフスタイルの調査によると、「1年前と比べて深夜の外食が増えた」と答えた人が4.7%のに対し、「減った」と答えた人は23.3%と、大きく上回っています。
また、飲食店の深夜営業に関して、「必要性を感じる」と答えた人は13.5%だったのに対し、「必要性を感じない」と答えた人は68.3%にものぼり、外食を巡る消費者のニーズが変化していることが窺えます(※「飲食店の深夜営業の利用実態と深夜営業への考えを調査」、2019年11月21日)。
低賃金、重労働というイメージが強い外食産業は、ほかの業界以上に労働者のワークライフバランスへの配慮が求められています。今回の24時間営業廃止には、潜在的な労働力である女性や高齢者の雇用を促進するという狙いもあります。