サッカーU‐23で惨敗した森保一代表監督。東京五輪への難題
チームを構成する上で決定的な問題
サンフレッチェ広島監督時より、ワントップ、6人のミッドフィールダー、3バックというフォーメンションを貫いてきている森保監督。
後方からボールを繋ぎ、細かいパスを回しながら両サイドも幅広く使い相手ゴールに迫るという戦い方でJリーグを3度制している。広島では佐藤寿人や浅野拓磨など、プレースタイルが異なるFWにもワントップで同様の動きを求めるなど、自身の戦術に選手をアジャストさせる形でチームを構築している。
代表監督となった現在でも変わらず、五輪、A代表とも3-6-1を基本としており、特にサイドからの突破などでチャンスを作る形が森保サッカーの特徴のひとつだ。アジア選手権では2戦目からスタメン出場を果たした相馬のサイド突破からのクロスがいくつものチャンスを演出した。
伝わり切らない勝負所での執念
また、今大会でもみられた交代枠の使い方も特徴のひとつと言える。
3試合を通して、60分以降からロスタイム間際での選手交代が目立った。同じ様に代表監督就任後は交代のタイミングがゲーム終盤になるケースが少なくない。同世代を初めて率いた一昨年のアジア大会2018決勝では4つの交代枠全て延長戦に入ってから使い、うち2つは韓国に2点リードされた延長後半だった。
また、昨年行われたUAEでのアジアカップでもカタールとの決勝戦、序盤から常にリードを許しながら、89分まで交代枠を使い切らずにゲームを進めている。
負けが許されない状況となった今回のアジア選手権のシリア戦では6人のスタメンを入れ替えたように、選手起用の大胆さも感じさせる采配もみせている。ただ、勝負どころでの交代をギリギリまで見極めている印象が強い。必勝を期したはずの中で劣勢に立たされたこともあり、勝利に対する執念がもうひとつ伝わり辛い采配とも感じられた。
五輪までに戦術、チーム力の向上を目指す
試合数を含めて、五輪へ向けてのシミュレーションとなるはずだった今回のU23アジア選手権。わずか3試合で大会を去ることになった原因は数多く挙げられるだろう。「個」の力や大会に向けての意識、モチベーションの違いなど、大会後、メディアのみならず選手の口からも様々な課題が伝えられてきた。
もっとも深刻なのはチームとしての完成度ではないだろうか。
チームとしての練度を高めるには、ある程度のメンバーの固定が必要なのは言うまでもない。特に所属チームでの出場機会が少ない若手選手ならば尚更だ。代々の五輪代表チームの多くは、チーム立ち上げ当初から顔触れがそれほど変わることなく、年月を重ねてきている。
ただ、今回のU23日本代表チームは大会毎に選手が目まぐるしく変わり続けているのが現状だ。