過労死ラインを超える残業で睡眠障害に…34歳が“名ばかり管理職”で見た地獄
2019年4月1日から「働き方改革関連法」が順次施行され、大企業は「残業は月45時間・年360時間」と定めらました。
一部対象外もありますが、昨今は残業をさせにくい世の中になっています。ただ、法律を巧みに悪用して社員を酷使するブラック企業もあります。彼らは労働基準法で残業代の支払い義務がない“管理職”に無限に残業させることで、労働力を補填するのです。
労基法では、「管理監督者」として相応の権限を与えて初めて残業代ナシにできるのですが、現実には、権限は与えず管理職という名だけ与えて残業代をケチる企業が後を絶ちません。
平社員の時は“天国”だったのに
このような“名ばかり管理職”の犠牲者になり、悲惨な日々を送っているという建築会社勤務の近藤修二さん(仮名・34歳)。もともとは自営業で建築士を目指していた近藤さんですが、事業がうまくいかず中堅の建築会社の検査員として5年前から働くことに。
「平社員として働いてるはじめの頃はよかったんです。残業も少なかったですし、働いた分だけ残業代も出ていました。建築士としての経験もありましたからほかの検査員よりも仕事は早いほうでして。その実力を認められて、入社から1年で課長に昇進したんです」
仕事の成果が認められたと喜んでいた近藤さんでしたが、ここからが悪夢の始まりでした。まず総務の担当者から「課長になると管理職なので、残業代は基本的に出ません」と伝えれます。
「そのぶん管理職手当で補填してくれる」と思っていたのに、その手当はなんと2万円だけ。最初の役職昇格時は平社員のときの給料のほうが多いという話は“中小企業あるある”ですが、残業時間は増え、平社員のときの2倍になってしまいました
課長に昇進した途端に“残業地獄”に!
「テイのいい働き手を見つけたと思ったのでしょう。自分を長く働かせれば多くの案件をこなすことができると考えたのだと思います。本来、管理職には採用・雇用に関する人事権や決済権があります。
そのため、私はいまの現状を解決するために検査員の増員を会社に求めましたが、社長は『考えておくよ』と言ったきり。1年経った今でも人員は補充されていません。本当の“名ばかり管理職”ですね、私は」
しかも、部下には規定以上の残業はさせられないので、重い仕事はすべて近藤さんが担当。しかし、23時以降の深夜残業代は給料換算の0.2倍だけ。「驚きました。仕事量のわりに給料が少なすぎます!」と憤慨する近藤さん。
このように消耗していく、管理職の方は多いのではないでしょうか。体力も若いころよりも衰えているので、長時間労働は肉体的にかなりきついはずです。