田中圭主演の恋愛映画、今泉力哉監督に聞く「上京前、吉本NSCに通っていた」
恋愛映画の旗手として注目を集める今泉力哉監督が『おっさんずラブ』シリーズなどの田中圭さんを主演に迎えた『mellow』(メロウ)が公開になりました。花屋を営む青年を中心に、さまざまな恋愛模様が展開していく群像劇です。
昨年春に公開され、口コミから評判となりロングランヒットを記録した『愛がなんだ』以降も、『アイネクライネナハトムジーク』、テレビドラマ『時効警察はじめました』(第3話、第7話)、そして『mellow』のあとも『his』(1月24日公開)、WOWOWオリジナルドラマ『有村架純の撮休』(8話中2話、2020年3月放映)を控えるなど、快進撃が続く今泉監督に単独取材。
田中圭さんの印象に始まり、監督が成功するまでの道のりや映画作りにおいて監督が大切にしていることを伺いました。
田中圭は「作品のために芝居ができる人」
――主演の田中圭さんとは初タッグです。実際にお仕事をされて、どんな魅力を感じましたか?
今泉力哉(以下、今泉):作品のために芝居をしてくれる俳優さんだと思いました。僕は、自分のために芝居をするような、つまり自分がかっこよく映ろうとする俳優さんが苦手なんです。
そういう作品もあると思いますが、今回は、主人公だけれどただそこにいてくれる人が求められる。相手とお芝居するときにもちゃんと受けられる人。田中さんは、若い子や経験の少ない人が出ていても、相手のお芝居のレベルをあげる受けの芝居が上手だと感じました。
――なおかつ、主演として作品の中心に立つことができる。
今泉:そうですね。あとは、作品の温度を脚本の時点でよくとらえてくれていたと思います。そのうえで準備しすぎず、現場で起きたことに柔軟に対応できるフラットさを持っていると思いました。
カップルの7割は片想い
――恋愛映画の今泉監督と言われていますが、以前に取材させていただいたときに、興味があるのは「想いの差」だとお話されていました。作品を拝見していると、それはずっと続いているようですね。
今泉:そうですね。ずっとやってますね。
――昨年、ロングランヒットとなった『愛がなんだ』は完全に想いの差について描かれていました。加えて方向の差もあるのかなと。なぜそうしたところに興味を覚えるようになったのでしょうか。
今泉:最初は嫉妬ですよ。僕自身が単純にモテないので(苦笑)。それで、世の中にはカップルや夫婦がたくさんいるけれど、その7割は片想いだという謎の説を、当時も言ってたんですが、想いの差があるのは自然なことだし、そこに興味があったんです。
それに想いの差というと、恋愛だけじゃなくて、上司と部下でも同僚でも友達でもありますよね。だから人間関係に興味があるんだと思います。それが顕著に出るのが恋愛だということで。あと、答えが出ないものこそ、映画のテーマになる。『愛がなんだ』なんてまさにそうですが。それから王道と言われているものじゃなくて面白いものを作りたいというのもあるかな。