アイドルに数十万円を貢ぐ28歳の弟。兄が凍り付いた「突然の結婚宣言」
世の中には限られた時間とお金を、惜しげもなくアイドルに捧げるファンたちがいます。昨今ではテレビに出演する人気グループから、劇場やライブハウスに行かないと会えないグループ(いわゆる地下アイドル)までアイドルも多様化しています。
そんなアイドルに熱狂するファンたちの行動は他人からすると「なぜそこまで……」と感じてしまうものの、本人たちは真剣。最近ではそんな彼らに対し、「何か夢中になれるのは、良いこと」と擁護する向きもあります。しかし、アイドルオタクではない家族からすると、胸中は複雑なようでーー。
アイドルに異常な情熱を燃やす弟
「独身で28歳の弟のHは、運送会社でドライバーをしています。最近は、かつてほど稼げなくなっていると聞きますが、弟がいる大手は今でもドライバーは高待遇を維持しています。給料も、同世代サラリーマンよりは高くて年収600万円近くもらっているはず。ただ、とあるグラビアアイドルに入れ込んでいるせいで、貯金がほとんどないみたいなんです」
そうため息をつくのは、Hさんの兄である長田勇樹さん(仮名・30歳)。勇樹さんは来年結婚する予定で、2歳年下の婚約者Sさんがいます。彼女も、義理の弟であるHさんのアイドルへの異常な情熱に呆れているそうです。
とにかくHさんはそのアイドルに、プレゼントとしてアクセサリーや服だけでなく、家電製品やタブレットまで貢いでいます。本人に理由を尋ねると、以前発生した「あるアイドルがSNSに画像投稿したら、アイドルの瞳に映った景色から、ストーカーが所在地を割り出した」という事件を引き合いに出してきたのです。
「今の時代、何からアイドルの個人情報を割り出されるかわからない。僕がプレゼントしたタブレットはセキュリティもバッチリだし、万が一、情報流出しても、僕の個人情報で登録してあるから、彼女の居場所が判明しないようにできている」
Hさんは自分を正義の味方であるかのように胸を張ります。
「いいね!」を量産し、あしながおじさん気分
「握手券付CDや写真集を1、2点購入するならまだ理解できますが、弟の出費は毎月10万円近いので、さすがに控えてほしいですね。たまに僕がたしなめても『自分のアイドル愛は将来への投資だから』と反論してくるんです。どうやら、そのグラビアアイドルを応援したいだけでなく、ゆくゆく本気で結婚相手にしたいと思っているみたいなんです」
そのためには彼女がアイドル活動に満足して、自ら引退しないといけない。そう考えたHさんは複数のアカウントを使って、仕事の合間に彼女のブログやインスタグラムにせっせと「いいね!」を押して、人気を偽装しているのです。
「『彼女がSNSランキングで上位に入れば、活動に満足してもらえるし、広告収入も稼げて、一石二鳥だ』と、すっかりあしながおじさん気取りですよ。ただ、最近インスタのいいね!数が非表示になったことで、自分の努力が相手に伝わらなくなったら、すぐやめてしまいました。そもそも、たった1人の力で、数万ものいいね!を獲得する人気アカウントに勝とうとすること自体が、無理な話ですよね」
どんなにHさんが稼いだお金をつぎこみ、無駄な努力を重ねていても、勇樹さんは「兄弟だから、基本は本人の意志を尊重したい」と、見守る方針です。しかし、そんな態度を不満に感じていたのが、勇樹さんの婚約者であるSさんです。