プロ野球「戦力外通告」から意地を見せた5人。開幕戦ホームラン3発、リリーフで復活…
記憶に残る往年のベテランも戦力外から輝きを放った
2012年、ジャイアンツにおいて代打での切り札として存在感を放った石井義人も「どん底」から這い上がった選手だ。
横浜ベイスターズ(当時)、西武ライオンズで計13年を過ごしたのちに戦力外となり、西武のユニフォームに別れを告げる。
トライアウトに挑んだ末、ジャイアンツ入りが決まり、翌年は主に代打で活躍。4割を超える得点圏打率を記録し、日本一に貢献した。この年はゲーム終盤で石井がバッターボックスに立つと、大きな期待が球場を覆った。
また、西武からダイエーホークス(当時)と渡った宮地克彦も現役にこだわったプレーヤーだ。ダイエーへのテスト入団を実現させ、2年目となる2005年シーズンは終始レギュラーの座を手放すことなく、シュアなバッティングで打率.311を記録。パ・リーグのベストナインにまで躍り出た。
西武退団時には負傷していた膝の状態が不安視されていたものの、新天地では外野守備もそつなくこなしており、プロ16年目、なおかつ戦力外からのキャリアハイは痛快なものがあった。球界を引退し、現在はエイジェック女子硬式野球部のゼネラルマネージャーを務める。
再起を期すベテランが強い輝きを放った試合
今から23年前のセ・リーグ開幕戦での衝撃は、新天地に移ったベテランのバットによるものだった。
山本浩二、衣笠祥雄の後継者として広島カープで活躍した小早川毅彦は1996年オフ、戦力外を通告されている。だが現役続行を望み、退団後にヤクルトスワローズのユニフォームに袖を通すこととなった。
迎えた1997年の開幕戦。当時、ジャイアンツの不動のエースだった斎藤雅樹に対し、3本のホームランを浴びせ、打ち砕いている。前所属ではもはや戦力として見なされていなかったベテランによる3連続アーチは、現役に拘った小早川の強烈な執念を感じさせた。
たとえ、戦力外通告を受けたとしても、熱い闘志を胸に、再起を図ることはできる。
<TEXT/佐藤文孝>