なぜ二日酔いは起きるか?産業医が教える、失敗しない飲み方
年末年始だけでなく、1月の新年会など、アルコールを飲む機会が多い季節になりました。今回は、私が産業医クライエント企業でこの時期に社員たちにする「アルコールとの付き合い方」についてお話させていただきます。
まず、お酒には、色々な種類があり、味も香りも千差万別です。しかし、最終的に、体や脳に影響をおよぼすのは、お酒の中のアルコール【エチルアルコール(C2H5OH)】成分です。
飲んだアルコールは、胃と小腸で吸収され、肝臓で2つの酵素で分解解毒されるまでの間、いわゆる“酔い”を起こします。アルコールからできたアセトアルデヒドは、アルコールよりも毒性が強く、吐き気、頭痛などのいわゆる“悪酔い・二日酔い”の原因となります。
アルコールの分解スピード
アルコールの分解スピードは、体重約60~70kgの人で1時間に約5~7gと言われています。一般的に、ビール缶500ml(アルコール含有量20g)のアルコールを分解するには約3~4時間かかります。
アルコールの分解スピードには個人差があり、女性や高齢者は、男性や若者よりも、遅い傾向があります。歳とともに弱くなる、飲めなくなるのはこのせいです。
また、人種による違いもあり、モンゴロイド系人種には、アセトアルデヒドを分解する酵素であるALDH2「不活性型」の人が多く、“酔い”が続きやすいです。一方、ヨーロッパ系・アフリカ系人種には「不活性型」はみられません。
日本人は欧米人に比べてお酒に弱いと言われるのはこのことが関係しています。
アルコール血中濃度の計算式
血液中のアルコール濃度の推定値は、体重と飲酒量より計算できます。
おおよそ先ほどの「ビール缶500ml先ほどの「ビール缶500ml(アルコール含有量20g)のアルコールを分解するには約3~4時間かかる」ということをぜひ、覚えておいてください。