『ガイアの夜明け』で注目!19歳で起業した寝たきり社長とは?
そもそも障がい者を取り巻く現状はどのようになっているのでしょうか?
去年の11月、広島県福山市で障害者就労継続支援A型事業所を運営する一般社団法人「しあわせの庭」が経営破綻。そこで働いていた人たち112人が給料未払いのまま突然、一斉解雇され、利用者が路頭に迷う事態が出てきてしまいました。
障害者就労継続支援A型とは、一般企業への就職が困難とされる障がい者を対象に就労の場を提供する事業のことで、障がい者は雇用契約を結ぶことができ、月平均で6万円の収入を得ることができます。事業所は、障害者雇用を促進するために国や自治体から、1人雇用するごとに約5000円の助成金を得ることができます。
2011年には全国に980か所だった事業所が、2017年には4倍近い3768か所に急増。
助成金制度を悪用し、障がい者を食い物に
しかし、本来は就労支援のために使われるべき助成金制度が、助成金を目当てに悪用する企業も増えてしまいました。そのため厚労省は去年の4月に助成金の用途を運営経費に限定し、給料は稼いだ収入から支払うように指導しました。その結果、経営に行き詰まる企業が急増し、50人以上の障がい者が解雇された事業所は1年間で5件にのぼりました。
番組の中で「福山ユニオン たんぽぽ」執行委員長の武藤貢さんはこのように話しました。
「現実的には障がい者がA型事業所で収益をあげるのはかなり困難な要素があるので、多少国や自治体から助成金が出ると言うのはやむを得ない。それが悪用されているという現実が制度の欠陥として現れている」
私利私欲に走り制度を悪用する経営者と場当たり的な国の方針に翻弄されるのは、いつも弱い立場におかれている人です。
「社長の行動力に尊敬する!」の一方で…
番組内で、佐藤さんは東海市の市長に働きかけていました。
市側もこのサービスは障害者雇用につながり、高齢者の介護予防にも繋がるとして、助成金の拠出を検討するとのことでした。
「僕がここまでやってきた意味というのは、同じような障がいを持った人々の働く環境を整えることが役割だと思っているので、これからも精一杯頑張っていきたい」
と、コメントしています。これに対し、ネットでは、
「このサービスはすごい」「社長の行動力に尊敬する!」
など好意的な意見が多かったですが、その一方で、「働き方改革として取り上げられるのが、このような天才の取り組みばかりで、働き方改革という言葉が空虚に聞こえてしまう」というシビアな声もありました。
重い障がいを抱えていたとしても、前向きに働くことができて、自分の能力によって稼ぐことができる佐藤さんは、ツラい現状に置かれている人にとって、大きな励みになるでしょう。その一方で、若者や弱者の夢や希望を挫くような社会状況があることも確かです。
どのような立場に置かれている人間であっても、やりがいを感じながら働くことができ、適正な給料が支払われることが望まれます。そのような社会の実現にむけて取り組む佐藤さんの姿勢が、多くの視聴者の心を打ったのではないでしょうか。
<TEXT/湯浅 肇>