ドリンク無料券は「飲み放題メニュー」からしか選べない?飲食店での素朴な疑問を弁護士が解説
「飲み放題1000円ぽっきり」の妙
――「飲み放題1000円ぽっきり」と客に告げる路上キャッチ。しかし1000円に消費税、席料、さらには1品注文必須などで、普通に飲みに行った方が安くなるパターンってあるあるですよね。これって何かおかしい気がするんですが…
後藤:「飲み放題1000円」と契約が客と店側の間で成立しているので「飲み放題1000円」以外の料金を請求された場合は、それ以外の金額を払う必要はありません。そのため、事前の説明と異なること、代金額に合意していないことを告げて、支払いを拒否し、合意した1000円のみを支払って店を出ることができます。
もっとも路上キャッチの人間が、店の人間ではなかったりすることがあるので、店に入った後、改めて店員と「飲み放題1000円」であることの確認をする必要はあると思います。
怪しそうな店の場合は、証拠として、合意した会話をスマホで録音しておくことがベストです。ただし、消費税については、1000円ぽっきり、と言われても、料金とは別に発生するものであるので、支払う必要があります。
オーダーミスで配膳された料理に手をつけたら?
――個人的に何度か経験したシチュエーションです。私は律儀に毎回料金を払っていますが、世の中そんなおおらかな人ばかりではないはず。間違って運んだ側と間違って食べた側、正義はどちらに?
後藤:オーダーミスに気付いたか否かにより、料金を払うべきかどうかが異なります。民法には「不当な利得は返還しましょう」という条文があります。これは、わかりやすく言うと「本来もらえるべきじゃないものをもらった場合、知らなかった場合は知った後にその状態で返せばよく、知ってた場合は、元の形で返しましょう」という内容です。
つまり、オーダーミスに気付かずに運ばれてきたものを食べた場合、気づいた時点or店員に言われた時点で、食べかけのメニューを返せば済み、代金を払う必要はありません。対して、オーダーミスに気付いた上で運ばれてきたものを食べた場合、元の形で返すのは無理なので、そのメニューの料金を払う必要があります。