ドリンク無料券は「飲み放題メニュー」からしか選べない?飲食店での素朴な疑問を弁護士が解説
チェーン居酒屋にありがちなドリンク無料券を使ったところ、店員から「飲み放題メニューの中からしか選べない」と言われた体験、一度はあるのではないでしょうか。
弊サイト「bizSPA!」の編集長も似た経験をしていて、彼の言い分は「1200円の獺祭を楽しみに行ったのに、480円のサワーを飲むハメになった。これは景品表示法に違反しているんじゃないか」とのこと。
実際のところ、法律的にはいかがなところなのでしょうか……。弁護士・公認会計士の資格を持つ後藤亜由夢さんに、この件も含め飲食店にまつわる些細な質問をぶつけてみました。
景品表示法違反になる可能性も
――ドリンク無料券を使ったときに「飲み放題メニューの中からしか選べない」のは、景品表示法に違反してるんでしょうか?
後藤亜由夢(以下後藤):こちらのケースですが、景品表示法の5条3号の「商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示」にあたる可能性がありますね。
これには、いわゆるおとり広告が含まれるのですが、おとり広告には「取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合」というのが、規制の対象になります。
つまり「ドリンク無料券には、出せるメニューが限定されているのにも関わらず、それがドリンク無料券には明瞭に記載されていない」といえ、景品表示法違反になる可能性がありますね。
ダブルロースカツ定食のカツが小さい…
――「かつや」は通常のロースカツ定食は120グラムなんですけど、ダブルロースカツ定食は80グラムが2枚なんです。メニューに明記されているとはいえ、120グラムのカツが2枚食べたいんですけど……。
後藤:メニューに書いてある以上、お客さんが「ダブルロースカツになると80グラムが2枚」に合意した上で注文していることになり、飲食店との間に「80グラムが2枚のダブルロースカツ」を提供する契約が成立していますので、クレームを言うことはできません。
もちろんメニューに「80グラムが2枚」と書いていない場合は、民事上の詐欺や錯誤として注文のキャンセルや、景品表示法の問題になる可能性があります。