上野動物園のモノレールが休止に。“90秒のミニトリップ”よ永遠に
上野懸垂線乗りたさに恩賜上野動物園へ
2019年10月1日(火曜日・都民の日)、恩賜上野動物園へ。この日は東京都民お待ちかねの都民の日。公立の学校はすべてお休み、恩賜上野動物園は無料という、“束の間の秋休み”だ。
9時30分に開園。まずはパンダ舎に行き、パンダの様子を眺める。混雑緩和の一環なのか、小学生以下の有無により、観覧ルートが内側と外側に分かれる。
この日は小学生以下、すなわち家族連れが多く、パンダが間近で見られる内側は盛況に対し、外側はガラガラ。職員が「撮影は手短に」と移動を促すので、どちらもゆっくり眺められそうもない。開園直後から行列ができていたのだから、致し方ない。
40形フォーエヴァー
10時20分、上野動物園東園駅に到着すると、早くも長蛇の列。西園へは歩いたほうが明らかに早いが、“上野懸垂線に乗ってみたい”という想いや熱気を感じる。駅構内は扇風機がフル稼働。また、蚊取り線香のニオイがなつかしい。自然の中にあるので、蚊が多いのだ。
券売機で乗車券を購入(交通系ICカードは使えない)。大人150円、小児80円は2011年来園時と同じ運賃。消費税率が5→8→10%に上がっても据え置きなのだ。私の推測ながら、大人運賃本体が143→139→136円、小児運賃本体が76→74→72円に値下げされたと思う。
改札で乗車券が回収され、日本のモノレールでは唯一の構内踏切を渡る。また、モノレールの地平駅自体も珍しい。
上野動物園西園行き(ワンマン)が入線。運転席の後方は展望席、ほかはロングシートで、車窓が満喫できるよう、側窓に向けて配置されている。
発車すると、森の中を走り、進行方向左側の壁面には動物のイラストが描かれている。しばらくしないうちに森を抜けると、公道をまたぎ、不忍池が見えた。
まるで空を飛んだまま、終点上野動物園西園の高いホームに到着。わずか90秒のミニトリップは、乗客の笑い声が絶えないほど、非日常の世界を満喫していた。
<取材・文・撮影/岸田法眼>